※この記事は、自分が勤務する訪問看護ステーションでの働き方をもとにしています。勤務時間、訪問件数、業務範囲などは事業所によって異なります。
訪問看護に興味があっても、
「1日に何件くらい訪問するのか」
「朝は事業所へ出勤するのか」
「記録はいつ書くのか」
「緊急訪問ばかりで忙しいのか」
など、実際の1日を想像しにくい人もいると思います。
自分が現在働いている事業所は、直行直帰が基本です。
朝礼のために毎朝事業所へ集まることはなく、社用車で自宅から最初の利用者宅へ向かいます。最後の訪問が終われば、そのまま帰宅できます。
1日の訪問件数は6〜12件ほどですが、件数だけでは忙しさは判断できません。
午前中がすべて入浴介助の日もあれば、午後は体調確認が中心の日もあります。訪問内容、移動距離、記録時間の取り方によって負担は変わります。
この記事では、訪問看護師として働く自分の1日の流れを、実体験をもとに紹介します。
直行直帰や希望休などの働き方については「訪問看護は休みやすい?直行直帰・希望休・有給休暇の実態を解説」にまとめています。
基本の勤務時間は8時30分から17時30分
現在の職場の基本勤務時間は、8時30分から17時30分です。
自分の場合は、収入を増やしたい時に希望して、朝7時30分ごろから夜20時ごろまで時間外訪問を担当することもあります。
ただし、これは毎日の基本的な勤務ではありません。
自分が希望した場合に仕事を増やしてもらう形なので、
- 私生活を優先したい日は通常勤務
- 予定がある日は夕方以降の訪問を入れない
- 収入を増やしたい時は時間外訪問を増やす
といった調整ができます。
同じ長時間勤務でも、職場から一方的に求められるのか、自分の希望で選べるのかでは負担感が大きく違います。
訪問看護師の給与や時間外訪問については「訪問看護師の給料は高い?求人票で確認したい固定残業代・手当・賞与」で紹介しています。
前日の勤務中に翌日の予定を確認する
翌日の訪問予定は、基本的に前日の勤務時間中に確認します。
確認する内容は、
- 最初の訪問時刻
- 訪問先までの移動時間
- その日の訪問順序
- 利用者ごとの注意事項
- 必要な医療物品
- 前回訪問からの変化
などです。
訪問看護では、事業所が使用している電子カルテや業務用ソフトによって操作方法は異なりますが、現在はかなりIT化されています。
スマートフォンやタブレットから予定や記録を確認できるため、翌日の予定を見るためだけに事業所へ戻る必要はありません。
訪問前にはカルテを開き、直近の記録や注意事項を確認します。
初回訪問や状態変化のあった利用者では、特に丁寧に確認します。
朝は遠足へ行くような感覚
朝は、最初の訪問へ間に合う時間に起床します。
自分はお弁当を作り、飲み物やおやつを準備してから出発します。
少し大げさかもしれませんが、自分にとっては遠足前の準備に近い感覚です。
その日の訪問予定を確認し、必要な物を持ち、社用車に乗って利用者宅へ向かいます。
毎朝事業所へ出勤して朝礼へ参加することはありません。
必要な用事がある時だけ事業所へ寄る働き方で、会社からも正式に認められています。
朝から職員全員で集まる時間がないため、最初の訪問へ向けて落ち着いて準備できます。
1日の訪問件数は6〜12件ほど
自分の場合、1日の訪問件数は、少ない日で6件、多い日で12件ほどです。
12件と聞くと、かなり多く感じるかもしれません。
ただし、訪問時間は30分が中心で、利用者の重症度やケア内容もばらばらです。
たとえば、
- 午前中は入浴介助が続く
- 午後は体調確認や服薬確認が中心
- 点滴や処置が必要な訪問が入る
- 状態が安定している人の定期訪問が続く
など、同じ件数でも内容が異なります。
6件でも、すべて入浴介助や医療処置であれば体力を使います。
反対に、10件以上あっても、移動距離が短く、状態確認が中心であれば比較的落ち着いて回れる日もあります。
そのため、求人票や面接で「1日何件ですか」と聞くだけでは、実際の忙しさは分かりません。
1件あたりの訪問時間は何分が中心ですか。
入浴介助や医療処置は、1日に何件程度ありますか。
訪問間の移動時間は、どの程度確保されていますか。
まで確認した方が、働き方を想像しやすくなります。
訪問で行う看護は病院と大きく変わらない
訪問先で行う看護そのものは、病院勤務と大きく変わらないと感じています。
たとえば、
- バイタルサインの測定
- 全身状態の観察
- 服薬管理
- 点滴
- 褥瘡や創傷の処置
- 清潔ケア
- 入浴介助
- 排泄ケア
- 精神状態の確認
- 家族からの相談対応
- 看取り
- 医師やケアマネジャーへの報告
などです。
大きく違うのは、看護を行う場所です。
病院では、医療用品の置き場所やケアを行う環境がある程度統一されています。
一方、訪問看護では利用者の自宅ごとに、
- 部屋の広さ
- ベッドの位置
- 洗面所までの距離
- 使用できる物品
- 家族の生活動線
- 清潔を保てる場所
が異なります。
病院ならすぐに手に入る物が、自宅では用意されていないこともあります。
その場合は、利用者宅にある物で安全に代用できないか考えたり、次回までに必要な物を準備してもらったりします。
訪問看護では、看護技術に加えて、その家にある環境でどう実現するかを考える応用力が必要です。
利用者の生活全体を把握しやすい
自宅へ訪問すると、病院では見えにくかった利用者の生活が見えます。
たとえば、
- どのような物を食べているか
- 薬をどこに置いているか
- トイレまで安全に移動できるか
- 家族がどの程度介護しているか
- 生活の中で何に困っているか
- 本人がどのような暮らしを望んでいるか
を実際に確認できます。
病院では「薬を飲めています」と話していても、自宅へ行くと薬が大量に残っていることがあります。
「歩けています」と聞いていても、家具の配置や段差によって、実際には転倒しやすい環境になっている場合もあります。
本人の話だけでなく、生活環境まで含めて全体像を捉えられるため、必要なケアを考えやすいと感じます。
訪問間には30分程度確保されている
現在の職場では、訪問と訪問の間を30分程度空けてもらっています。
実際の移動時間は、5〜20分程度であることが多いです。
残った時間は、
- 訪問記録を書く
- 医師やケアマネジャーへ連絡する
- 次の利用者のカルテを確認する
- 水分を取る
- 安全に車を止めて少し休む
ために使えます。
訪問予定を詰め込みすぎると、少し渋滞しただけで次の訪問へ遅れてしまいます。
時間に追われると、運転中に焦ったり、記録が後回しになったりして、事故や確認不足につながる可能性もあります。
現在の職場は、移動そのものには30分も必要ない場合でも、記録時間と安全運転を考えて余裕を持たせてくれています。
訪問件数が多くても、この余白があることで落ち着いて回れます。
記録は訪問中か、終了直後に済ませる
記録は、訪問中に必要な内容を入力するか、訪問後に車内で済ませることが多いです。
現在は、記録を書く時間がまったく取れないほど訪問予定を詰められることは、基本的にありません。
自分が記録で意識しているのは、
次に読む人が、状況を短時間で把握できること
です。
長く書けば良いわけではありません。
- 状態がどうだったか
- 何を行ったか
- 前回から何が変わったか
- 誰へ報告したか
- 次回何を確認するか
を、端的で読みやすく書くようにしています。
簡潔な記録を意識すると、書く側も読む側も楽になります。
記録を一日の最後までためると、訪問時の細かい状況を忘れたり、文章を書く負担が大きくなったりします。
できるだけ訪問直後に済ませる方が効率的です。
AIによる音声入力も使える
現在は、音声入力やAIを利用し、話した内容を文章として整理する方法もあります。
訪問後に要点を音声で入力し、
- 重複した表現を減らす
- 内容を時系列に並べる
- 読みやすい文章に整える
といった使い方ができます。
ただし、外部のAIサービスを使用する場合は、利用者の氏名、住所、病名、家族構成など、個人を特定できる情報を入力しないことが重要です。
事業所が使用を認めているサービスか、個人情報の取り扱いがどうなっているかも確認する必要があります。
AIは記録を代わりに判断するものではなく、自分が確認した内容を整理する補助として使うのが安全だと思います。
昼休みはお弁当を食べる
昼食は、自分で作ったお弁当を食べることが多いです。
訪問場所や時間によって、
- 車内
- 公園などの外
- 休憩できる場所
で食べます。
時々、ほかのスタッフと食事へ行ったり、露店で買った物を外で食べたりすることもあります。
直行直帰では職員と顔を合わせる機会が少ない分、たまに一緒に昼食を取る時間は良い交流になります。
毎日全員で昼食を取らなければならないわけではなく、それぞれの予定に合わせて過ごせる距離感が、自分には合っています。
現在は訪問以外の仕事が少ない
現在の自分は、基本的に訪問看護へ集中しています。
必要に応じて、
- 主治医への状態報告
- ケアマネジャーへの連絡
- 家族への説明
- 他職種との情報共有
は行います。
一方で、
- 新規契約
- 営業活動
- 採用業務
- 電話窓口
- シフト全体の管理
などは、基本的に管理者が担当しています。
訪問看護師として採用されたスタッフが、看護以外の仕事をどこまで担当するかは事業所によって異なります。
現在の職場は役割分担が明確で、看護に集中しやすい環境です。
訪問以外の仕事については「訪問看護ステーションの選び方|転職前の見学で確認したい8項目」でも詳しく紹介しています。
緊急訪問は毎日起こるわけではない
訪問看護と聞くと、急変や緊急訪問が毎日起こる印象を持つ人もいるかもしれません。
実際には、通常の訪問予定に沿って一日が終わることの方が多いです。
緊急訪問が必要になった場合は、管理者が全体の予定を確認し、対応できるスタッフへ振り分けます。
自分の訪問予定に余裕があり、対応できそうな場合は、
自分が行けます
と申し出ることもあります。
誰か一人がすべてを抱えるのではなく、管理者が全体を見て調整することが大切です。
緊急訪問が入るたびに、各スタッフが自分で予定を組み直さなければならない職場では、負担が増えます。
面接や見学では、
当日の緊急訪問は、誰が割り振りますか。
緊急対応によって通常訪問が難しくなった場合、誰が調整しますか。
と確認しておくと安心です。
オンコールや夜間の緊急訪問については「訪問看護のオンコールはきつい?電話・出動回数、手当、生活への影響を実体験から解説」にまとめています。
最後の訪問後はそのまま直帰する
最後の訪問が終わり、必要な記録と連絡を済ませたら、そのまま帰宅できます。
毎回事業所へ戻って、
- 終礼へ参加する
- 紙の記録を提出する
- 管理者へ口頭で報告する
必要はありません。
帰りに買い物をしたり、帰り道にある銭湯へ寄ったりすることもあります。
もちろん、社用車の使用や帰宅方法については事業所のルールに従います。
仕事を終えた後に事業所へ戻る時間がないため、私生活へ切り替えやすいと感じます。
勤務中は訪問へ集中し、終わればそのまま自分の時間に戻る。
この働き方は、自分に合っています。
病棟勤務より自分のペースで動きやすい
病棟勤務では、複数の患者を同時に担当しながら、
- ナースコール
- 入退院
- 検査
- 医師の指示
- ほかのスタッフとの調整
- 急な処置
に対応する必要があります。
自分の予定だけで仕事を進めることは難しく、周囲の状況に常に気を配っていました。
訪問看護では、基本的に一つの利用者宅へ行き、その時間は目の前の利用者へ集中します。
次の訪問までの時間も分かっているため、自分のペースで仕事を組み立てやすいです。
また、常に同じ職場内で大勢の人と働くわけではないため、人間関係による摩耗や余計な配慮が少なくなりました。
利用者の生活全体を見ながら、自分の判断で必要なケアを考えられる点にも、心地よさを感じています。
ただし、自分の裁量が大きい分、
- 時間の管理
- 記録
- 安全運転
- 看護判断
- 必要時の相談
を自分で行う必要があります。
自由に働けることと、すべてを一人で抱えることは違います。
相談体制と予定調整が整った職場であることが重要です。
面接で確認したい1日の働き方
求人票の「1日5〜6件訪問」といった数字だけで判断せず、次の点まで確認した方がよいと思います。
1日の平均訪問件数と、最も多い日の件数を教えてください。
30分・60分・90分訪問の割合はどの程度ですか。
訪問間には何分確保されていますか。
移動時間と記録時間は勤務時間に含まれますか。
記録は勤務時間内に終えられますか。
朝礼や終礼のために、事業所へ立ち寄る必要はありますか。
当日の緊急訪問は、誰が予定を調整しますか。
訪問以外に担当する仕事はありますか。
最後の訪問後は、そのまま直帰できますか。
同じ訪問件数でも、移動時間が短く、記録時間が確保されている職場と、予定が隙間なく入っている職場では働きやすさが違います。
まとめ|訪問件数より、1日の組み方を見る
訪問看護師の1日は、利用者宅を訪問する時間だけで成り立っているわけではありません。
- 訪問前のカルテ確認
- 利用者宅までの移動
- 訪問看護
- 記録
- 医師やケアマネジャーへの連絡
- 緊急訪問への対応
まで含めて、一日の仕事です。
自分が現在働いている職場では、基本勤務は8時30分から17時30分で、1日に6〜12件ほど訪問します。
直行直帰ができ、訪問間には移動と記録の時間が確保され、緊急訪問は管理者が調整してくれます。
そのため、訪問件数が多い日でも、比較的落ち着いて仕事を進められます。
訪問看護の働きやすさを判断する時は、件数だけでなく、
訪問内容
移動時間
記録時間
緊急時の調整
直行直帰の運用
まで確認することが大切です。
訪問看護は、毎日重大な急変に対応し続ける仕事ではありません。
目の前の利用者へ向き合いながら、自分のペースで一日を組み立てやすい働き方です。
自分に合う事業所を選べれば、病棟勤務とは違った心地よさを感じられると思います。

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