看護師の給料は2026年に上がる?賃上げ・看護協会の動きと現役訪問看護師の実感

訪問看護・働き方

「看護師の賃上げ」

最近こういう言葉を見る機会が増えました。

日本看護協会も2026年9月1日から14日まで、病院や訪問看護事業所、介護保険施設などで働く看護職を対象に、**「看護職員の賃上げに関する緊急調査」**を行っています。

目的は現在の賃上げ状況を把握して、今後の処遇改善に必要な財源や支援策につなげるためとのことです。

2026年度の診療報酬改定でも、看護職などの賃上げに使うベースアップ評価料が見直されています。日本看護協会によると、今回の診療報酬改定は全体で3.09%のプラス改定となり、そのうち1.7%が賃上げ分として確保されています。

こういうニュースを見ると、

お、看護師の給料上がるの?

と思いますよね。

自分も思います。

で、たぶん働いている側が一番知りたいのって、

それで、自分の給料はいくら上がるの?

ここだと思うんです。

制度が何%上がったと言われても、最終的に見るのは給与明細ですからね。

自分の場合は、実際に給料がかなり上がりました。

ただ、だからといって、

看護師は2026年からみんな給料が上がります!

という話でもありません。

今回は、今起きている看護師の賃上げの動きを確認しながら、病院と訪問看護の両方で働いてきた自分が、給料や処遇改善について感じていることを書いてみます。

自分は基本給が6万円以上上がった

先に自分の話をすると、現在の職場ではここ1〜2年で基本給が6万円強上がりました。

会社からは、処遇改善として得られたものを社員へ還元する、という説明を受けています。

これは普通にうれしかったです。

しかも、一時的な手当ではなく基本給を上げてもらえました。

自分の場合、基本給が上がったことで時間外手当の単価も上がりました。

なので、

処遇改善手当5,000円つけます。

というのとは、受け取る印象がかなり違います。

もちろん5,000円だって上がらないよりはありがたいです。

でも、基本給そのものを上げるということは、

スタッフへ継続して還元します。

という会社側の姿勢も感じます。

今の職場はもともと、スタッフを比較的大切にしてくれていると感じる事業所なので、制度だけのおかげなのか、会社そのものの考え方によるのかは自分には分かりません。

たぶん両方あるんでしょうね。

ただ、自分自身としては、

国が「処遇改善」と言っているものが、実際に自分の給与へ届いた実感はあります。

2026年の制度は「賃上げにつなげる」方向には動いている

ここは少しだけ制度の話です。

厚生労働省には、2026年度診療報酬改定における医療機関や訪問看護ステーション向けの「ベースアップ評価料」の専用ページがあります。

訪問看護ステーションについてもベースアップ評価料の仕組みがあり、算定した事業所には賃金改善の中間報告や実績報告が求められています。

なので、

訪問看護の報酬が上がりました。会社の売上が増えました。以上!

というためだけの仕組みではありません。

少なくともベースアップ評価料については、職員の賃金改善につなげることを前提にした制度です。

一方で、

じゃあ全国の看護師が一律に月3万円上がるの?

と言われたら、そういう話でもありません。

どの制度を算定しているか、事業所がこれまでどの程度賃上げしてきたか、給与制度をどう設計しているかなどによって、実際の給与への反映は変わります。2026年度改定では、以前から継続して賃上げしてきた医療機関や訪問看護ステーションを一段高く評価する仕組みも導入されています。

だから自分は、

制度のニュースを見ることも大事。でも、自分の処遇を見るなら最終的には給与明細を見る。

これだと思っています。

看護師の給料は安いのか?自分は「職場による」と思う

Xなどを見ていると、

看護師の給料安すぎ。

という話をよく見ます。

これについて、自分は一括りにはできないと思っています。

本当に驚くくらい給料の低いクリニックもあります。

逆に、かなり時給の高い事業所もあります。

訪問看護も同じです。

月給だけ見ると高くても、オンコールや緊急出動、固定残業代、インセンティブなどを全部入れた数字だったりします。

なので、

看護師だから給料が高い。

看護師だから給料が低い。

ではなく、どこで、どう働くかによる差がかなり大きいと思っています。

自分で求人を見ているだけでは分からないことも多いので、自分は転職するときに紹介会社を使うこともあります。

もちろんエージェントの言うことを全部信じるわけではありません。

自分でも求人を見る。

エージェントから情報をもらう。

面接でも聞く。

できれば見学する。

何個かの情報を重ねて判断します。

訪問看護の求人を直接応募、紹介会社、知人紹介などで探した経験はこちらにまとめています。

訪問看護の求人はどう探す?直接応募・紹介会社・知人紹介を実体験から比較
訪問看護の求人は、直接応募と紹介会社のどちらで探すべきか。複数の方法で転職した看護師が、知人紹介、口コミ、求人票の注意点、応募前に確認したい質問を実体験から解説します。

病院では「命を削って稼いでいる」感じがあった

給料について考えるとき、自分は金額だけでは判断しなくなりました。

病院で働いていた頃は、今振り返ると、

なんだか搾取されてるな。

と感じることがありました。

有給も満足に使えない。

夜勤もある。

身体もしんどい。

人が足りなければ無理して働く。

お金を稼いでいるというより、

命を削って稼いでいる。

そんな感覚でした。

一方、今の訪問看護ではオンコールこそありますが、自分としてはそこまで無理なく働けています。

仕事をしながらセブ島にも行きました。

沖縄や北海道へも行ける。

長期の休みも取れる。

来年はプーケットへ行く予定も立てています。

自分にとっては、こっちの方がずっといい。

年収だけ切り取ったら、

もっと働けばもっと稼げる。

という職場もあるでしょう。

でも毎日へとへとで、休みも取れず、旅行にも行けない生活なら、自分は1000万円くらいもらわないと割に合わないと思います(笑)。

逆に、ある程度自由に動けて、生活も楽しめるなら、自分にとっては年収600〜700万円くらいが一つのちょうどいい範囲です。

これは税金上の「最適年収」という意味ではなく、自分の生活と仕事量を考えたときの個人的な感覚です。

訪問看護へ転職して収入や休日、旅行の仕方がどう変わったのかはこちらにも書いています。

訪問看護師に転職して暮らしはどう変わった?夜勤なしでも収入と自由時間が増えた実体験
病院から訪問看護へ転職して、収入・休日・自由時間はどう変わったのか。夜勤なしでも病棟時代以上の収入を得ながら、旅行・登山・キャンプ・食べ歩きを楽しめるようになった実体験と、事業所選びの大切さを紹介します。

処遇改善って、給料だけ上げれば終わりではないと思う

月1万円給料が増えました。

でも毎日8〜10件訪問します。

オンコールも頻回です。

休みも取りにくいです。

残業も多いです。

だったら自分は、

いや、その業務量で1万円はちょっと違うでしょう。

と思います。

もちろん給料が上がるのはありがたい。

でも、仕事量に見合った賃金であることが大事です。

反対に、多少給与が低くても、直行直帰ができて、社用車があって、休みが取れて、訪問件数も無理がない。

低いにも限度はありますけど、そういう職場なら長く働ける人も多いと思います。

自分は上も下もいろいろな職場を見てきたので、

この仕事量なら、このくらいは欲しいな。

という感覚が以前より分かるようになりました。

やった仕事に時間外をつけるのは、本来そんなに特別な話ではない

自分は現在、勤務時間を超えて仕事をした分は時間外としてつけています。

今の上司も、

働いたのなら時間外をつける。

という考えです。

自分としては、これってものすごく良い福利厚生というより、

それが普通では?

と思っています。

厚生労働省のガイドラインでも、労働時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間とされ、明示または黙示の指示で業務をしている時間は労働時間として扱う考え方が示されています。実際にどの時間が時間外労働になるかは勤務形態などによって個別に異なりますが、働いた時間を適正に把握すること自体は使用者に求められています。

ただ、看護の世界では、

これくらいみんなやってる。

委員会だから。

勉強会だから。

若い頃はもっと大変だった。

みたいな話で、働いた時間が曖昧にされることがあるように感じます。

特に仕事ができる人ほど、

これお願い。

あれもできるよね。

と仕事が集まることがあります。

能力があること自体は良いことです。

でも、できることと、無償で何でも引き受けることは別です。

仕事が増えるなら、役割なのか、評価なのか、手当なのか。

何かしら還元してもらえるように話をすることも、働くうえでは必要なんだと思います。

自分も昔はそこがあまり上手ではありませんでした。

「看護協会って何してるの?」と思っていたけれど、調べると動いてはいる

看護協会については、自分も以前から、

会費も安くないけど、これって働いている看護師にどう還元されてるんだろう?

と思うことがあります。

今回の「賃上げ緊急調査」を見たときも、

調査して、それで本当に変える気あるのかな。

という気持ちは正直あります。

ただ、今回記事を書くために調べてみると、

看護協会は何もしていない。

と書くのも違いました。

日本看護協会は2026年5月に厚生労働大臣へ看護職員の処遇改善を要望し、6月には在宅・施設領域の看護職員の処遇改善を厚生労働省へ要望しています。さらに7月には、日本訪問看護財団、全国訪問看護事業協会と連名で、すべての訪問看護師の処遇改善などを求める要望書も提出しています。

今回の緊急調査についても、

看護職の賃金が実際どうなっているのか。

というデータがなければ、国へ要望するときの根拠も弱くなります。

なので、調査をする意味自体はあると思います。

ただ、働く看護師側としては、

調査しました。要望書を出しました。

で終わらず、

それが最終的に現場へどう届いたの?

まで見たいですよね。

自分は看護協会で働いている知人もいます。

熱心に動いている人がいる一方で、昔ながらの考え方がかなり強く残っている人もいる印象があります。

自分としては、

昔はこうだったから。

ではなく、今働いている看護師の生活や価値観にも、もう少し柔軟に寄り添ってほしいと思っています。

ただし若いスタッフ側も、

働きやすくしてください。

給料上げてください。

仕事はあまりしたくありません。

だけでは成り立たないと思います。

やる仕事はやる。

働いた分は適正に評価してもらう。

休むときは休む。

そういう関係の方が自分は健全だと思っています。

今回の緊急調査が、本当に働いている看護師への処遇改善につながっていけばいいなと思います。

月給40万円より「どうやって40万円になるのか」を見る

賃上げのニュースを見て、

自分の給料、やっぱり低いかも。

と思ったら、まず給与の中身を見てみるといいと思います。

自分が求人を見るなら、基本給、固定残業代、賞与、昇給実績、オンコールや緊急出動の頻度と手当、土日手当、インセンティブ、年間休日、実際の残業代の扱いあたりを確認します。

特に基本給はかなり見ます。

固定残業代については制度自体が悪いとは言いませんが、自分なら入っていない方が分かりやすくて好きです。

賞与と昇給も、

あります。

だけではなく、

実際、去年どのくらいでした?

まで知りたい。

オンコール手当が1回1万円でも月15回持つなら話は変わりますし、1回3,000円でもほとんど鳴らないなら負担感は違います。

年間休日は、自分なら124日以上あるとうれしいです。

そして残業については、

残業代出ます。

だけではなく、実際にスタッフが時間外申請できているのかを見ます。

月給40万円!

という数字だけでは分かりません。

何をした結果の40万円なのか。

そこを見るようにしています。

訪問看護の給与について、基本給・固定残業代・賞与・オンコール手当などを詳しく書いた記事はこちらです。

訪問看護師の給料は高い?求人票で確認したい固定残業代・手当・賞与
訪問看護師の給料は本当に高いのか。基本給約35万円、手当や時間外訪問を含め月50万円前後になる看護師が、固定残業代、賞与、インセンティブ、オンコール手当など求人票の見方を解説します。

求人票の給与、休日、オンコールなどをどう見ているかはこちらにまとめています。

訪問看護の求人票で見るべきポイント完全ガイド|給与・休日・オンコールの落とし穴
訪問看護の求人票で確認したいポイントを、複数の事業所で働いた現役訪問看護師が解説します。給与の内訳、賞与、休日、訪問件数、オンコール、自家用車、教育体制など、入職後に後悔しないための見方をまとめました。

どちらの記事も現在のサイト上で、給与の内訳や固定残業代、実際の残業、オンコールなどまで扱っているので、今回の記事からの導線としてもかなり自然。

今の自分に疑問を感じたら、転職を少し調べてみてもいい

自分が転職を考えていいと思うタイミングは、ものすごく単純で、

今の自分に疑問を感じたとき。

だと思っています。

今の給料でいいのかな。

この働き方をあと5年続けられるかな。

どうして休みたい日に休めないんだろう。

これだけ仕事しているのに、なんで評価されないんだろう。

そう思ったからといって、明日退職届を出す必要はありません。

求人を見るだけでもいい。

紹介会社へ話を聞いてみてもいい。

他の病院や訪問看護ステーションがどんな条件なのか知るだけでもいいです。

比較した結果、

今の職場、結構いいじゃん。

となることだってあります。

逆に、

え、自分かなり安く働いてたんだ。

と気づくこともあります。

「利用者さんを残して辞められない」と思うことについて

訪問看護を辞めるとき、

自分が担当している利用者さんを残していくのが心配。

と思う人もいると思います。

その気持ちは分かります。

自分も利用者さんとの関係は大切にしています。

でも、自分が辞めたら全員の生活が成り立たなくなる、というケースは実際にはそこまで多くありません。

事業所で引き継ぎをする。

別の看護師が訪問する。

必要なら他のサービスも調整する。

もちろん丁寧に引き継ぐ責任はあります。

でも、

この利用者さんに何か思われるかもしれないから辞めない。

だけで自分の働き方を決め続けたら、だんだん自分の人生が他人軸になってしまいます。

自分はそれも少し違うと思っています。

むしろ、

利用者さんを残していくことを心配できるくらい、その人のことを考えて働ける看護師なら、新しい職場へ行ってもまた誰かを助けられます。

もし今より良い環境で働けるようになれば、余裕を持って、もっと多くの人へ良い看護ができるかもしれません。

自分の生活を犠牲にし続けないとできない看護だけが、良い看護ではないと思います。

訪問看護の面接で給与やオンコール、残業、相談体制などを確認するときの質問はこちらにまとめています。

訪問看護の面接で必ず確認したい15の質問|入職後に後悔しないためのチェックリスト
訪問看護の面接では、何を質問すればよいのでしょうか。求人票を見れば、月給や休日数、勤務時間などの基本的な条件は確認できます。しかし、実際の残業時間やオンコールの負担、スタッフ同士の関係、看護以外に任される仕事までは、求人票だけでは分かりませ…

まとめ|賃上げのニュースより、自分の給与と暮らしを見る

2026年は、看護職の賃上げについて制度側もかなり動いています。

診療報酬改定では賃上げのための評価が見直され、日本看護協会も現在、看護職の賃上げ状況について緊急調査を行っています。訪問看護を含めた在宅・介護領域の処遇改善についても、国への要望が続いています。

自分自身も、今の職場では基本給が6万円以上上がりました。

ありがたいです。

でも、自分は給料だけ上がれば処遇改善完了とは思っていません。

休める。

無理のない仕事量で働ける。

働いた時間にはきちんと賃金が出る。

頑張ったことが何かしらの形で返ってくる。

長期休暇を取れる。

仕事以外の人生もちゃんとある。

そこまで含めて、

この職場で働いていてよかった。

と思えることの方が大事です。

国が何%賃上げすると言ったか。

看護協会が何を要望したか。

それを知ることも必要です。

でも、自分の人生を最終的に守ってくれるのは、「処遇改善」という言葉ではありません。

自分の給与明細と、自分が実際に送っている生活です。

自分は病院で働いていた頃より、今の方が収入にも時間にも余裕があります。

旅行にも行く。

山にも行く。

休みたいときは休む。

働きたいときには時間外訪問を入れてもらう。

生活ありますからね。

もし今、

この給料で、この働き方をずっと続けるのかな。

と少しでも疑問を感じているなら、ほかの職場を調べてみてもいいと思います。

転職するかどうかは、そのあと決めればいい。

働くために暮らすんじゃなくて、暮らすために働く。

自分は今の職場へ来て、その感覚が以前よりずっと強くなりました。

訪問看護の仕事内容や給料、働き方、転職先選びをまとめて読みたい方はこちらです。

現役訪問看護師が、訪問看護への転職を考えている方へ向けて、仕事内容、給料、オンコール、職場選びなどの記事をまとめました。まず何から読めばよいか分からない方はこちらからどうぞ。

制度部分で確認した資料

日本看護協会の賃上げ緊急調査は2026年9月14日までなので、この記事は今出す意味がかなりある。

日本看護協会「看護職員の処遇改善に向けて」
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について」
日本看護協会「2026年度 要望書・意見書」

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