訪問看護ではどんな利用者さんを担当する?年齢・疾患・ケア内容を実体験から紹介

訪問看護・働き方

訪問看護への転職を考えていると、

どんな利用者さんのところへ行くんだろう?

高齢者が多いのかな?

精神科や小児もある?

医療処置ってどのくらいするんだろう?

と気になる人もいると思います。

自分もこれまでいろいろな利用者さんへ訪問してきました。

一番若かったのは0歳児。

最高齢は102歳です。

本当に、生まれたばかりの子どもから人生の最期を迎える人まで関わります。

疾患も、心不全、糖尿病、認知症、脳血管疾患、がん、難病、精神疾患、小児疾患などさまざまです。

ただ、訪問看護で働いていて感じるのは、病名を見ただけでは、その人に何をするのかはあまり分からないということです。

例えば同じ糖尿病でも、薬を忘れてしまう人がいれば、食事そのものが取れていない人もいます。認知症もあって自宅での生活自体が難しくなっている人なら、看護師だけでなくケアマネジャーや他サービスとの調整も必要になります。

病院では疾患に対する治療があり、それに沿って看護をしていくことが多かったと思います。

在宅でも治療や看護そのものが別物になるわけではありません。

ただ、その疾患を持った人が家でどう生活していくのかまで見る。

自分は、そこが病棟との大きな違いであり、訪問看護の面白いところだと思っています。

訪問看護に年齢制限はない

訪問看護というと、高齢者のお宅へ行くイメージが強いかもしれません。

実際、高齢者へ訪問する機会は多いです。

ただ、訪問看護そのものは高齢者だけのサービスではありません。

自分がこれまで担当した利用者さんでは、一番若くて0歳児、最高齢は102歳でした。

こうして並べると、年齢差102歳です。

なかなか幅広いですよね(笑)。

子どもには子どもの看護がありますし、成人には成人の生活があります。高齢者でも一人暮らしでかなり自立している人もいれば、ご家族や介護サービスの支援を受けながら生活している人もいます。

なので、

高齢者だからこういう訪問。

とは、自分はあまり考えていません。

高齢者でも訪問する理由は人によって全然違う

例えば、かなり自立して生活している高齢者で、

何かあったとき心配だから、月に1回くらい来てもらいたい。

という人もいます。

逆に、

一人で生活していると不安なので週3回来てほしい。

という人もいます。

自分では入浴できるけれど、転倒が心配なので週2回だけ入浴時に訪問する人もいますし、創傷処置が必要で毎日訪問する人もいます。

年齢が同じだからといって、必要な看護が同じになるわけではありません。

結局、

その人が今の生活を続けるために、何が必要なのか。

そこを見ていくことになります。

疾患は本当に幅広い

自分がこれまで多く関わってきたのは、とある疾患だけ、というわけではなく、いくつかの疾患を併発している方が多いように思います。

腎疾患や透析を受けている利用者さんの場合も、透析治療そのものを家でするというより、体調管理や服薬、生活面の支援を目的に介入することがあります。

病棟なら、

循環器病棟なのでおおむね循環器。

消化器病棟なのでほぼほぼ消化器。

のように、ある程度疾患がまとまっていることがあります。

訪問看護はそうではありません。

いろいろな診療科で見ていた人たちが、そのまま地域で暮らしています。

考えてみれば当たり前なんですけどね。

退院した瞬間に病気がなくなるわけではありません。

ただ、病院で見るような急性期の治療が必要な方はそう多くないです。

在宅で生活できるレベルの体調の利用者さん、そんなイメージです。

在宅での生活が難しそうな体調になってきたら、往診医や病院へつなげますしね。

病院で受けていた治療やケアを続けながら、その人なりの生活へ戻っていきます。

訪問看護の介護保険と医療保険の違いや、どんな利用者さんで医療保険になることがあるのかはこちらにまとめています。

訪問看護の介護保険と医療保険の違い|どっちが優先?現場で感じる違いも解説
訪問看護の介護保険と医療保険は何が違う?どちらが優先されるのか、対象者や連携先、現場で感じる仕事内容の違いまで、看護師・ケアマネ経験のある現役訪問看護師が分かりやすく解説します。

医療依存度が高くても、自宅で生活している人はいる

難病や医療依存度の高い利用者さんでは、病院で見ていたような医療機器や処置がそのまま自宅にあることもあります。

以前担当した方では、人工呼吸器を使用しながら、尿道留置カテーテル、胃ろう、褥瘡の処置なども必要な方がいました。

こう書くと、

それ全部、一回の訪問でやるの?

と思うかもしれません。

必要な処置を順番に進めながら、ヘルパーさんにも入ってもらっていたので、それぞれ役割を分けて時間内に終わるようにしていました。

在宅だから看護師が全部やるわけではありません。

ヘルパー、リハビリ、医師、ケアマネジャーなど、その人に関わっている人たちと役割を分けます。

ここも病院と大きく違うようで、実はそんなに変わらないと思っています。

病院だって看護師一人ですべてをやっているわけではないですからね。

精神科でも「話を聞くだけ」ではない

精神科の訪問では、話を聞くことも大切です。

ただ、自分は、

精神科訪問看護=ひたすら傾聴。

という感覚ではありません。

生活リズムや内服状況を見たり、その人が以前よりできるようになったことを確認したり、逆に妄想や不安が強くなっていないかを見たりします。

状態が大きく変化しているのであれば、必要に応じて主治医へ状況を伝えます。

そのうえで薬剤調整を含めてどのような治療を行うかは、本人の状態や希望、主治医の方針によって変わります。

薬を使うことだけが正解でもなければ、薬を使わないことがいつでも正解というわけでもないと思っています。

本人がどんどんしんどくなっているのであれば、

今どうするのが一番いいんだろう。

と考えて、必要な人へ早めにつなぐ。

ここも身体科の看護と本質的にはあまり変わらないと思っています。

小児では本人だけでなく家族との関わりもかなり大きい

小児の訪問では、当然ですがご家族が日常的にケアをしているケースが多いです。

なので本人への看護だけではなく、ご家族への説明や手技の確認、相談への対応など、家族支援の割合もかなり大きくなります。

子どもは大人より状態や発達の変化が早いと感じることもあります。

医療的なケアだけでなく、発達や療育、養育など、生活全体の中で考えることも多いです。

また、子どものケアが長期間続けば、ご家族の生活も大きく変わります。

同じような状況のご両親同士でつながっている方もいますが、介護や医療的ケアを中心とした生活になり、社会から少し離れてしまったように感じている方もいます。

だから、

お母さんだからできて当たり前。

お父さんだからやって当然。

みたいにはしたくないと思っています。

今やっていることを当たり前にせず、労ったり、困っていることを聞いたりすることも必要です。

ただ、すべての訪問看護ステーションが小児を受け入れているわけではありません。

小児をほとんど受けていない事業所もありますし、逆に小児を専門的に受け入れているところもあります。

なので、

小児経験がないから訪問看護は無理かも。

と考える必要もありません。

自分がどんな看護をしたいのかに合わせて事業所を選べばいいと思います。

がん末期や終末期の利用者さんへ関わることもある

自分の場合、時期にもよりますが、週に5〜6人ほど終末期の利用者さんへ関わることがあります。

疼痛があるなら状態を確認し、主治医と連携しながら疼痛コントロールについて相談します。

頓服薬などご本人やご家族で対応できるものについては、医師からの指示内容を確認しながら、使用方法やどんなときに連絡してほしいのかを何度も説明することもあります。

特に終末期では、一度説明したから終わりとはなかなかなりません。

ご本人もご家族も不安です。

同じ内容を何度か確認されることもあります。

それが普通です。

こちらの説明と、本人や家族が理解している内容にズレがないように、丁寧に確認しながら関わります。

最初は「訪問看護って入浴介助もするんだ」と驚いた

自分が病棟から在宅へ来たときに少し驚いたのが、入浴やシャワー浴の介助でした。

病院では、そうしたケアをヘルパーさんなどが担当してくれていたこともありました。

ところが訪問看護へ来ると、

今日の訪問は入浴介助がメインです。

ということがあります。

最初は、

訪問看護って、ここまでやるんだ。

と思いました。

でも実際にやってみると、これはこれで看護なんですよね。

お風呂に入る前に体調を見る。

動いたときの息切れやふらつきを見る。

皮膚の状態を見る。

本人がどこまで自分でできるのかを見る。

入浴後に体調が崩れていないか確認する。

ただ身体を洗うために行っているわけではありません。

生活に必要な行為を一緒にしながら、その人の状態を見ることができます。

やってみて、

こういう訪問もありだな。

と思うようになりました。

以前、1日7件すべて入浴介助だった日は、さすがにどっちが風呂入ってるのか分からなくなりましたけど(笑)。

この日はさすがに、他のスタッフさんから心配され、おやついっぱいもらいました。

みんな綺麗になったから、いいんです(^^)

病院では大変だった人が、家に帰ると普通に暮らしていることもある

逆の意味で驚いたケースもあります。

病院から、

せん妄がかなり強いです。

という情報を受けていた高齢の利用者さんがいました。

ところが家へ帰って訪問してみると、

あれ?

というくらい普通に生活していました。

ご家族も特に困っていない。

自宅では落ち着いて過ごしていて、内服管理を少し支援したあと、自分で管理できるようになりました。

最終的には訪問看護も終了。

その後、パークゴルフなんかをしながら元気に過ごしていると聞きました。

病院ではせん妄が強かったという情報が間違っていたわけではないと思います。

でも、環境が変わればその人の状態も変わることがある。

病院で見えていた姿だけが、その人のすべてではないんですよね。

こういうケースを見ると、在宅って面白いなと思います。

病棟で身につけた経験が訪問看護でどう役立つのか、逆に在宅へ来て戸惑ったことはこちらの記事で詳しく書いています。

訪問看護は病棟経験何年から?未経験で転職しても大丈夫?現役訪問看護師が実体験から解説
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同じ病気でも、必要な訪問看護は全然違う

訪問看護では、病名だけを見ても訪問内容は決まりません。

例えば、同じ糖尿病の利用者さんでも違います。

Aさんは、薬をよく忘れてしまう。

Bさんは、そもそも十分に食事が取れていない。

Cさんは認知症もあり、外へ出てしまうことがあって、今のまま一人で生活すること自体が難しくなっている。

全員「糖尿病」でも、必要な支援は違います。

病院でも、その人に合わせて個別性を見るのは同じです。

ただ在宅では、その個別性がそのまま生活として目の前に見える感じがあります。

薬を飲めないなら、飲めない理由が家の中にあるかもしれない。

食事が取れないなら、冷蔵庫を見て初めて分かることもある。

歩けないなら、廊下の幅や段差、家具の位置も関係します。

病気を見ることと、生活を見ることがかなり近いです。

病棟と在宅で「看護そのもの」が別物になるわけではない

ここがこの記事で一番伝えたいところです。

訪問看護へ行くと、

病棟と全然違う仕事をするのかな。

と思うかもしれません。

自分は、やることの本質はそこまで変わらないと思っています。

体調を見る。

症状をアセスメントする。

必要な処置をする。

薬を見る。

本人の話を聞く。

家族と話す。

医師や他職種と連携する。

病院でもやってきたことですよね。

療養する場所が病院から自宅へ変わっただけです。

ただし、違うところもあります。

病院なら24時間誰かがいますが、訪問看護は決められた時間で訪問し、その後はその人の生活が続きます。

30分なら30分。

60分なら60分。

その限られた時間で状態を見て、

自分が帰ったあとも、この人が生活できるようにどうつなげるか

まで考える必要があります。

自分は、そこが在宅の面白さだと思っています。

処置をして終わりではなく、

次の訪問までどう過ごすんだろう。

この薬、自分で飲めるかな。

家族だけで対応できるかな。

ヘルパーさんにも共有した方がいいかな。

と、その先まで見る。

病院と在宅では場所が違う。

時間の使い方も違う。

でも、看護師としてやっていることはつながっています。

訪問時間によって同じ利用者さんでもできることが変わる

在宅では時間制限も大きいです。

同じ利用者さんでも、30分訪問と60分訪問ではできることが違います。

状態観察と服薬確認が中心なら短時間で終わる場合もありますが、入浴介助や複数の処置があれば時間が必要です。

医療依存度が高いかどうかだけでは、訪問の忙しさは分かりません。

処置内容、本人のADL、家族の介護力、訪問時間、移動時間など、いろいろな要素が重なります。

なので転職先を見るときも、

どんな利用者さんがいますか?

だけではなく、

1日何件くらい回りますか?

30分と60分、どちらの訪問が多いですか?

まで聞いた方が、実際の働き方は分かりやすいと思います。

訪問件数だけでは分からない忙しさや、訪問時間・移動時間についてはこちらの記事で詳しく書いています。

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訪問看護師は1日に何件訪問するのか。5〜7件、8件、10件超、最大13件を経験した現役訪問看護師が、件数ごとの忙しさや移動時間、記録、休憩、利用者の状態による違いを実体験から紹介します。

事業所によって担当する利用者さんはかなり違う

訪問看護ステーションによって、利用者さんの層はかなり違います。

これはホームページを見ても、

精神科に力を入れています。

小児を受け入れています。

難病・医療依存度の高い方にも対応しています。

など、その事業所の特徴を出しているところがあります。

精神科特化の事業所もありますし、小児を専門的に受け入れているところもあります。

終末期や医療依存度の高い利用者さんを積極的に受け入れているところもあります。

なので、

自分、精神科はあまり経験ないからな。

小児はほとんどやったことない。

と思っても、訪問看護そのものを諦める必要はありません。

自分が経験してきたことや、これから経験したい看護に合わせて事業所を選ぶのも一つだと思います。

逆に、

難病や医療処置をもっと経験したい。

という人なら、そうした利用者さんが多い事業所を選ぶ方法もあります。

転職前は「年齢層」だけ聞いてもあまり分からないと思う

自分なら、転職前に年齢層だけを聞いても、そこまで参考にはしません。

同じ80歳でも、月1回の健康確認だけでいい人と、毎日医療処置が必要な人では全然違います。

むしろ聞きたいのは、

どんな疾患や状態の利用者さんが多いですか?

1日何件くらい訪問しますか?

30分と60分はどちらが多いですか?

あたりです。

終末期や難病の利用者さんが多い事業所なら、医療依存度に伴うケアが多くなる可能性があります。

精神科中心なら、また違う経験になります。

小児を受けていない事業所もあります。

だから、

利用者さんの年齢ではなく、自分が一日どんな訪問をすることになるのか

を聞いた方が働く姿を想像しやすいと思います。

利用者層や訪問件数など、訪問看護の面接で自分が確認しておきたい質問はこちらにまとめています。

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まとめ|場所は違っても、やっているのは看護だと思う

訪問看護では、0歳の子どもから100歳を超える高齢者まで、本当にさまざまな人へ関わります。

疾患も、心不全、糖尿病、認知症、脳血管疾患、がん、難病、精神、小児など幅広いです。

ただ、自分は、

訪問看護だから特別な看護をする。

とはあまり思っていません。

病院でやっていたように状態を見て、必要な処置をして、本人や家族の話を聞き、必要なら医師や他職種へつなぐ。

看護師としてやることの本質は、病棟でも在宅でもそこまで変わりません。

違うのは、その看護をする場所です。

病院では治療を受けながら生活します。

在宅では生活の中に治療や看護が入ってきます。

そして訪問看護師は、決められた訪問時間が終われば家から出ます。

だから、

今この人に何が必要か。

だけではなく、

自分が帰ったあと、この人はどう生活するのか。

まで考える。

自分は、この部分が病棟とは少し違っていて、訪問看護の面白いところだと思っています。

病院で経験してきた看護も、ちゃんと在宅へつながります。

場所が変わっただけで、今までやってきたことが全部リセットされるわけではありません。

むしろ病棟で学んだことを、その人の家や生活に合わせてどう使うか。

そこに訪問看護ならではの面白さがあります。

病棟経験が訪問看護でどう役立つのか、未経験で転職するときに自分が大切だと思うことはこちらにまとめています。

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