訪問看護へ転職するとき、
「1日何件くらい訪問するんだろう?」
と気になる人は多いと思います。
求人票や面接では、
1日平均5〜6件程度です。
と説明されることもあります。
でも、実際に働いてみて思うのは、
「1日○件」だけでは、その事業所が忙しいかどうかは分からない
ということです。
30分訪問を6件回るのと、医療的ケアの多い60分訪問を6件回るのでは、まったく違います。
さらに、
- 移動時間
- 記録時間
- 利用者さんの状態
- 処置内容
- 急な訪問への対応
- 昼休憩
- 訪問エリア
まで含めて考えなければ、本当の忙しさは見えてきません。
自分はこれまで、1日4件ほどの日から、最大13件を一人で訪問した日まで経験しました。
現在の感覚では、
- 4件:かなり余裕がある
- 5〜7件:普通
- 8件以上:少し忙しくなる
- 10件以上:単日ならできるけれど連日はきつい
- 13件:これはさすがに普通ではない
という感じです。
もちろん、これは自分の経験上の感覚です。
この記事では、実際に訪問して感じる件数ごとの忙しさと、転職前に「平均訪問件数」と一緒に確認してほしいことを紹介します。
- 自分の場合、1日5〜7件くらいが普通
- 8件を超えると「朝か夜」が勤務時間からはみ出してくる
- 10件の日は8時から20時になることもある
- 10件訪問しても昼休憩は1時間取っている
- 10件訪問するなら短時間訪問が中心になる
- 同じ「1件」でも内容は全然違う
- 移動時間30分でも「30分ずっと運転」ではない
- 最大13件。朝7時から夜21時まで訪問した日
- 13件訪問して分かった「件数を詰め込めばいいわけではない」
- 急な訪問へ対応できる「余白」も必要
- 訪問件数が多い=給料が高くないと不公平?
- 転職前は「平均1日○件」だけを聞かないでほしい
- 自分なら面接でここまで聞く
- 「1日○件」だけで職場を判断しないでほしい
- まとめ|訪問件数より「余裕を残して看護できるか」が大切
自分の場合、1日5〜7件くらいが普通
現在の職場では、自分の感覚としては1日5〜7件くらいなら普通です。
4件くらいだと、むしろ時間を持て余すことがあります。
もちろん、空いた時間に記録や連絡、急な訪問への対応などもできますが、
今日は余裕あるな。
と感じるくらいです。
5〜7件になると、ある程度しっかり訪問しながら、記録や必要な連絡も進められます。
自分の場合、6件くらいであれば、途中で利用者さんの急変などがあっても比較的柔軟に対応できます。
逆に8件を超えてくると、
今日はちょっと忙しいな。
という感覚が出てきます。
8件を超えると「朝か夜」が勤務時間からはみ出してくる
7件くらいまでは、自分の場合それほど大変とは感じません。
ただ、8件を超えてくると少し変わります。
訪問自体は予定通りできます。
休憩も1時間取っています。
その代わり、
朝が早くなるか、夜が遅くなるか。
どちらかに勤務時間が広がってくることが多いです。
訪問看護では、一件の訪問時間を勝手に短くするわけにはいきません。
利用者さんに必要なケアが60分なら、その60分はきちんと確保します。
だから件数が増えれば、
利用者さんの時間を削る
のではなく、
自分の働く時間が伸びる
という形になります。
自分としても、忙しいからといって看護の質を落としてはいけないと思っています。
ただ、それが毎日続けば、当然疲労は蓄積します。
10件の日は8時から20時になることもある
自分は1日に10件以上訪問することもあります。
ある日は、
朝8時ごろから夜20時ごろまで。
時間外勤務としてきちんと申請したうえで働いていました。
10件というとかなり多く感じるかもしれません。
実際、少し疲れます。
ただ、自分の場合は、
こんな時間帯にも訪問看護を必要としている人がいるんだな。
と感じることもあり、それが頑張る理由になっています。
いろいろな利用者さんを担当することで経験も増えるので、自分自身のキャリアとしてプラスになる部分もあります。
とはいえ、
10件を毎日やりたいかと言われたら、やりたくありません。
単日ならできます。
連日はきついです。
10件訪問しても昼休憩は1時間取っている
忙しい職場の話をすると、
10件も行ったら昼休憩なんてないんじゃない?
と思うかもしれません。
現在の職場では、件数が多くても昼休憩は1時間確保されています。
事業所へ戻る時間はないので、昼食は車の中で食べることが多いです。
トイレは移動中に立ち寄れる場所を利用したり、必要に応じて利用者さんのお宅でお借りすることもあります。
記録も基本的に、
- 訪問中に必要事項を記録する
- 訪問後の車内でまとめる
- 次の訪問までの空き時間を使う
という形で進めています。
現在の職場には、
「記録は長く書けばいいものではなく、必要な情報を端的に伝える」
という考え方があります。
これはかなり助かっています。
訪問で一日が埋まり、
記録は全部仕事が終わってから。
という働き方ではないからです。
自分も帰宅後に記録を書くことは、ほとんどありません。
10件訪問するなら短時間訪問が中心になる
もう一つ重要なのが、訪問時間です。
自分の場合は30分訪問が比較的多いです。
10件という訪問件数を組めるのも、短時間訪問があるからです。
60分訪問が何件も入れば、当然10件は回れません。
だから、
1日5件です。
1日8件です。
という数字だけ比較しても、あまり意味がありません。
例えば、
30分訪問7件
と、
60分訪問5件
なら、自分の場合は60分訪問5件の方が疲れることもあります。
60分訪問ということは、医療的なケアや処置が多い利用者さんであることもあります。
拘束時間も長くなります。
何件行ったかというより、
その時間の中で、どれだけのケアを集中して行う必要があるか
によって疲れ方は変わります。
同じ「1件」でも内容は全然違う
訪問件数を見るときに、ぜひ知っておいてほしい部分です。
同じ30分訪問でも、
- 内服管理中心の30分
- 入浴介助を行う30分
では負担が違います。
同じ60分でも、
- 精神科訪問看護でじっくり話を聞く60分
- 医療依存度が高く複数の処置を行う60分
では、求められる集中力も動きも違います。
だから自分は、
「今日は6件だから楽」「8件だから大変」と、件数だけではあまり判断しません。
むしろ、
今日担当する利用者さんは誰か。
を見ます。
どんなケアが必要なのか。
どれくらい処置があるのか。
家族への対応が必要なのか。
医師やケアマネジャーへの連絡が必要そうなのか。
そちらの方が忙しさを左右します。
移動時間30分でも「30分ずっと運転」ではない
訪問看護では、移動時間もかなり重要です。
現在の職場では、次の利用者さんのお宅まで実際には5分程度で到着できる場合でも、30分前後の移動・調整時間を確保してもらえることがあります。
この余白がかなり大きいです。
その時間に、
- 記録をする
- 必要な報告をする
- トイレへ行く
- 駐車場から利用者宅まで移動する
- 次の訪問の準備をする
といったことができます。
自分にとって一番きついのは、
訪問が終わる→すぐ移動→到着したらそのまま次の訪問
というスケジュールです。
移動時間は単なる運転時間ではありません。
訪問と訪問の間に、少し頭を切り替える時間でもあります。
だから面接で、
移動時間は平均何分ですか?
と聞くだけではなく、
訪問と訪問の間を、何分空けてスケジュールしているのか
まで確認した方がいいと思います。
最大13件。朝7時から夜21時まで訪問した日
ここからは、今の職場ではなく、以前経験した事業所での話です。
自分がこれまで経験した中で、一番多かったのは、
1日13件。
朝7時ごろから始まり、終わったのは夜21時ごろでした。
30分訪問だけではありません。
60分訪問も含まれていました。
最終的に13件すべて、自分が回りました。
当時は訪問の担当が特定のスタッフへ偏りやすい状態があり、自分がかなり多くの訪問を引き受けていました。
この日は、まとまった昼休憩も取れませんでした。
食事は車で移動する合間に済ませます。
トイレへ行く時間も十分になく、利用者さんのお宅でお借りしたり、我慢したりしていました。
記録も、その場で必要な内容をできるだけ端的に残します。
終わった頃には、
ほぼ屍でした。
この事業所、大丈夫かな……。
と本気で思ったのを覚えています。
翌朝起きるのも本当につらかったです。
13件訪問して分かった「件数を詰め込めばいいわけではない」
13件を一日経験したからこそ思います。
物理的に訪問できることと、無理なく続けられることは別です。
一日だけなら、
今日だけ頑張ろう。
で乗り切れることもあります。
でも、それが毎日続けばどうなるでしょうか。
疲労が蓄積します。
集中力も落ちます。
運転にも影響します。
そして最終的には、利用者さんを見る余裕にも影響してくる可能性があります。
訪問看護では車移動も多いため、忙しいときほど、
事故を起こさないこと
も意識しなければなりません。
少し遅れそうだからと焦って運転して事故を起こしたら、本末転倒です。
利用者さんへきちんと看護を提供するためにも、スタッフが無理なく働けるスケジュールは必要だと思います。
「今日12件だわ(笑)」を武勇伝にする人もいる
でも、ときどきいるんです。
「今日12件だわ〜(笑)忙しいわ〜(笑)」
「最近ずっとこんなん続いてるわ〜(笑)」
と、なぜか少し自慢げに話す管理者や代表が。
聞いている側としては、
地獄のミサワかな。
と思ってしまいます。
たくさん訪問していること自体を否定したいわけではありません。
利用者さんの状況によっては、どうしても訪問が重なる日もあります。
自分だって10件以上訪問する日はあります。
でも、それを、
「こんなに働いている自分はすごい」
という武勇伝にしてしまうのは、ちょっと違うと思っています。
むしろ管理する側なら、
なぜそんな勤務が続いているのか。
誰か一人に負担が偏っていないか。
休憩や記録の時間は確保できているか。
この働き方を続けても安全なのか。
を考える方が大事ではないでしょうか。
自分が実際にしんどかったのも、単純に訪問件数が多かったからだけではありません。
無理をして働くことが「頑張っている証拠」のような空気になることが、かなりしんどかったです。
上に立つ人が長時間労働を武勇伝にしていると、スタッフ側も、
疲れたと言いにくい。
今日はもう無理ですと言いにくい。
休みたいと言いにくい。
という空気になりやすいと思います。
そして、そんな武勇伝を聞かされた側は、
すごいですね。
と、とりあえずヨイショすることになります。
でも本当に評価したい管理者は、
自分が何件回ったかを誇る人ではなく、スタッフが無理をしなくても仕事が回る仕組みを作れる人
だと自分は思っています。
無理に働くことは、美徳でもなんでもないですよ(´・ω・)
多く訪問すること自体は嫌いではないですが、それを部下にも当然のように求めたり武勇伝にする人は、ちょっと背中がむずがゆくなってきます。
急な訪問へ対応できる「余白」も必要
訪問看護では、予定通り一日が終わるとは限りません。
例えば、
- 発熱した
- 転倒した
- 点滴が抜けた
- 痛みが強くなった
- 家族から相談が入った
など、予定外の対応が必要になることがあります。
現在の職場では、誰か一人を固定の急訪担当にしているというより、
そのとき動ける人が柔軟に対応する
形です。
管理者が行くこともあります。
その日の訪問件数が少ないスタッフが行くこともあります。
まだその利用者さんへ行ったことのないスタッフが、
行ってみたいです。
と担当することもあります。
必要なら、既存の訪問時間を調整することもあります。
自分は、この柔軟さが今の職場の良いところだと思っています。
予定を限界まで詰め込んでしまうと、こういう動きができません。
5〜6件くらいの日なら、自分の場合は急変があっても比較的対応しやすいです。
8件を超えてくると、調整が少し難しくなってきます。
つまり、
普段から少し余白があることは、暇という意味ではなく、急な看護へ対応するためにも必要
だと思います。
訪問件数が多い=給料が高くないと不公平?
これは人によって考え方が分かれると思います。
現在の職場では、訪問件数によるインセンティブはありません。
時間外に訪問した場合は、その分が時間外勤務になります。
では、
5件訪問した人と8件訪問した人で給料が同じなら不公平じゃない?
と言われると、自分はそこまで件数だけでは考えていません。
先ほど書いたように、利用者さんによってケア内容は違います。
5件でもかなり大変な日があります。
逆に8件でも比較的スムーズに回れる日があります。
そして自分が多く訪問することで、
- 他のスタッフが動きやすくなる
- 管理者が急な対応へ回れる
- 自分自身の経験値が増える
というメリットもあります。
訪問が少ない日は少ない日で、
急な訪問が入ったら動こう。
という働き方ができます。
以前は、
自分ばかり仕事が多い。
と考えて疲れてしまうこともありました。
今は、
その日の役割の中で、自分にとってのメリットを見つける
ようになりました。
その方が、かなり気持ちは楽です。
……とはいえ、
訪問件数に応じたインセンティブがあったら、それはそれでうれしいです(笑)。
転職前は「平均1日○件」だけを聞かないでほしい
訪問看護の面接で、
1日の平均訪問件数は5件です。
と聞いたら、
5件なら余裕ありそう。
と思うかもしれません。
でも、それだけでは判断できません。
自分なら、追加で確認します。
どんな利用者さんが多いのか
まず聞きたいのが、利用者さんの特徴です。
- 高齢者中心
- 精神科
- 小児
- 神経難病
- がん終末期
- 医療依存度が高い利用者
など、事業所によってかなり違います。
介護保険と医療保険はどちらが多いのか
これも事業所の特徴を知る材料になります。
保険種別だけで忙しさが決まるわけではありませんが、
どんな利用者さんを多く受け入れている事業所なのか
を知るきっかけになります。
1件あたり何分の訪問が多いのか
平均5件でも、
30分中心なのか。
60分中心なのか。
ここで一日の拘束時間は大きく変わります。
訪問と訪問の間は何分あるのか
個人的にはかなり重要です。
「移動10分」と聞いても、
本当に10分しか枠がないのか。
30分確保されて、その中で記録や移動ができるのか。
では全然違います。
記録は勤務時間内に終わるのか
訪問件数が普通でも、
記録がすべて訪問終了後
なら結局残業になります。
求人票を見るときには、訪問件数だけでなく、こうした部分も確認してほしいと思います。
訪問看護ステーション選びで確認したいポイントについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。

自分なら面接でここまで聞く
訪問件数について質問するなら、
1日何件ですか?
だけで終わらせず、
「平均的な1日の流れ」を聞く
のがおすすめです。
例えば、
平均5〜6件とのことですが、30分と60分ではどちらの訪問が多いですか?
どのような利用者さんが多いですか?
訪問と訪問の間は何分くらい確保されていますか?
記録は勤務時間内に終わっていますか?
急な訪問が入った場合は、どのように調整していますか?
と聞けば、かなり具体的な働き方が見えてきます。
数字だけでは分からない部分を確認することが大切です。
自分が実際に事業所選びで失敗した経験については、こちらにもまとめています。

「1日○件」だけで職場を判断しないでほしい
自分の体感では、
- 4件:かなり余裕
- 5〜7件:普通
- 8件以上:少し忙しい
- 10件以上:単日ならできるけれど連日はつらい
- 13件:さすがに無理がある
という感じです。
ただ、この記事で一番伝えたいのは、
「5件なら楽」「8件ならブラック」と単純に判断しないでほしい
ということです。
見るべきなのは件数だけではありません。
どんな利用者さんなのか。
何分訪問なのか。
どんな処置があるのか。
移動時間はどう組まれているのか。
記録はいつするのか。
昼休憩は取れるのか。
急変したときに誰が動くのか。
そこまで含めて、初めて「1日5件」の意味が分かります。
まとめ|訪問件数より「余裕を残して看護できるか」が大切
訪問看護では、一日にたくさんの利用者さんへ会えることも魅力の一つだと思っています。
いろいろな疾患。
いろいろな生活。
いろいろな家族。
病院とはまた違う経験を積むことができます。
自分も訪問件数が多い日は、
今日もいろいろ経験できたな。
と思うことがあります。
でも、件数を増やすこと自体が目的になってはいけないと思います。
看護師が疲れ切ってしまえば、利用者さんの小さな変化を見る余裕がなくなるかもしれません。
急な相談にも対応できなくなります。
運転中の事故のリスクにもつながります。
だから大切なのは、
何件訪問できるかではなく、その件数で無理なく看護を続けられるか。
だと思っています。
求人票に書いてある「1日平均○件」という数字だけでは、その職場の働きやすさは分かりません。
これから訪問看護へ転職する人には、
件数だけではなく、その一日の中身まで確認してから職場を選んでほしい。
自分の13件訪問のように、
回れたから問題ない。
ではありません。
無理なく働けること。
急なことにも対応できること。
そして利用者さん一人ひとりへ、必要な看護をきちんと提供できること。
自分は、その余裕がある働き方の方が、長く訪問看護を続けられると思っています。
訪問看護について初めて調べている方は、働き方・給料・オンコール・転職先選びをまとめたこちらの記事からどうぞ。
皆さんの訪問看護選びの一助になれば幸いです(^^)



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