訪問看護を始めると、
初めて行く利用者さんって、何を見たらいいんだろう?
初回で全部聞かないといけないの?
情報がほとんどないのに一人で行って大丈夫?
と不安になることがあると思います。
自分も初めて訪問する利用者さんでは、今でも事前に分かる情報はできるだけ確認してから行きます。
診断名や既往歴、訪問看護指示書、ADL、内服、家族構成、医療処置、他サービス、認知機能など、情報は多いに越したことはありません。
ただ、実際の訪問看護では最初から全部の情報がきれいに揃っているとは限りません。
ケアマネジャーも関わり始めてまだ1週間。サービス調整を進める中で2週間目に訪問看護へ依頼が来て、往診してくれる医師も同時並行で探している。
そんな状態から始まることもあります。
でも、考えてみれば病棟でも同じですよね。
新規入院の患者さんが来た瞬間に、その人の生活歴から家族関係まですべて分かっているわけではありません。
分からないことがあるなら、その場で情報を集めて、実際の状態を見る。そこからアセスメントするっていうのは、訪問看護でも基本は同じです。
この記事では、初回訪問で自分が確認していることや、実際に利用者さんのお宅へ行って初めて分かることについて紹介します。
- 初回訪問前に情報は「可能であれば」できるだけ確認しておく
- 玄関を開けたところから、もう情報収集は始まっている
- 初回だからといって、特別なことをするわけではない
- 初回から全部聞こうとすると、ただの質問攻めになる
- 利用者さんとの距離の縮め方はかなり自由
- 薬を飲んでいないなら「飲んでください」で終わらせない
- 事前情報と実際の生活が違うことは普通にある
- 自分は「情報がないこと」が一番不安
- 「本当の初回訪問」と「そのスタッフにとって初めての訪問」は少し違う
- 新人さんへ最初から何でも一人で行かせる必要はないと思う
- 初回訪問が終わったら「全部電話で報告」するわけではない
- 初回訪問で「傾聴すればいい」わけでもないと学んだ
- 「訪問が上手い人」はケアをケアっぽく見せない
- 初回訪問ですべて分からなくてもいい
初回訪問前に情報は「可能であれば」できるだけ確認しておく
事前に情報があるなら、自分はできるだけ確認してから行きます。
例えば、
- 診断名・既往歴
- 訪問看護指示書
- ADL
- 必要な医療処置
- 内服内容
- 家族構成・キーパーソン
- ケアマネジャーや他サービスの利用状況
- 緊急連絡先
- 認知機能や精神面
- 暴力など安全面に関する情報
- 駐車場所
- ペットの有無
などです。
特にペットは、噛んだりすることもあるので注意ですよ(-“-)
命に関わることや、今回なぜ訪問看護が入るのかという介入目的は確認しておきたいです。
ただ、
全部覚えてからじゃないと訪問できません。
なんてことはなく、それでは現実的に回らないこともあります。
情報が少ないなら少ないなりに、まず利用者さんに会って、実際の生活を見る。むしろ、そこから初めて集められる情報もかなり多いというのが正直なところです。
玄関を開けたところから、もう情報収集は始まっている
例えば、玄関へ入った時点でかなり物が多い。
それだけでも、
ヘルパーさんは入っているのかな。
保清はどうしているんだろう。
食事は取れているのかな。
ゴミを自分で出せているのかな。
キーパーソンはいるのかな。
本人はこの環境をどう感じているんだろう。
と、いろいろ考えます。
さらに家の中へ入れば、情報はもっと増えます。
歩く場所に物が置いてあれば転倒リスクになりますし、夏なのに冷房を使っていなければ室温も気になります。
冷蔵庫を本人と一緒に確認する必要があるケースなら、食べ物がほとんどないこともあれば、同じ食品が大量に入っていることもあります。
薬が何か月分も余っていたり、郵便物が大量に積まれていたり、福祉用具があるのに使われていなかったり。
家族が一緒に住んでいても、ほとんど介護には関わっていないこともあります。逆に家族が何でもやりすぎて、本人ができることまで減っている場合もあります。
病院のカルテだけでは見えなかったことが、家へ行くと普通に見えてきます。
家そのものが、かなり大きな情報源です。
初回だからといって、特別なことをするわけではない
初回訪問というと、
まず自己紹介して、問診票みたいに全部聞いて……。
と思うかもしれません。
もちろん挨拶はしますし、必要な情報収集もします。
ただ、自分は必要以上にへりくだって、
本日から訪問させていただきますので、何卒よろしくお願いいたします。
みたいな関わり方をする必要もないと思っています。
療養の場が病院から自宅へ変わっただけですしね。
利用者さんによって反応も違います。
看護師なんていらん!
という人もいますし、
来てくれてありがとうね。
という人もいます。
まずは、
体調、お変わりないですか?
くらいから普通に始めます。
そこから、その人に必要な看護をしていきます。
必要な処置があれば初回から普通にする
例えば創傷処置が必要な方なら、傷を確認して、痛みやこれまでの経過を見ます。
退院時と比べてどうなのか。必要なら主治医へ経過を報告しますし、点滴が必要そうなら医師へ相談します。服薬管理が目的なら、薬の状況を確認します。
初回訪問だから今日はお話だけ、というケースは結構稀です。
病院から自宅へ戻ってきても、治療や看護は続いています。
むしろ生活環境が変わったことで状態が良くなる人もいれば、思った以上にコントロールが難しくなる人もいます。
そこで起きていることを実際に見て、必要な人へつないでいく。それも介入したスタッフの大切な役割だと思っています。
今の職場は相談できる人もたくさんいるので、そこは本当に恵まれていると感じます(^^)
初回から全部聞こうとすると、ただの質問攻めになる
利用者さんについて知ろうと思えば、既往歴や生活歴、食事、睡眠、排泄、内服、家族、介護状況など、聞きたいことはいくらでもあります。
全部聞こうと思えば聞けますが、初対面の人が家へ来て、矢継ぎ早に質問し続けたら利用者さんもしんどいと思います。
自分は、命に関わることと、今回の介入目的に必要なことは確認する。そこから会話の中で情報を広げていくことが大切だと思っています。
心不全なら「体重増えましたか?」だけでは終わらない
例えば心不全の利用者さん。
足が少し浮腫んでいる。
そこから、
足、ちょっと浮腫んでるみたいですね。体重一回測ってみましょうか。
と声をかけます。
測ってみたら体重が増えている。
そこで、
あれ、少し増えてますね。最近ご飯とかお水、どのくらい取ってます?
と聞いてみる。
話しているうちに、
そういえばトイレもあんまり行ってない。
という話が出てくることもあります。
そこから主治医へ報告し、状態によっては治療内容が調整されることもあります。
もちろん、実際に何をするかは主治医の治療方針や利用者さんの状態によります。
でも大切なのは、質問項目を埋めるために聞くのではなく、目の前で起きていることから必要な情報を広げること。
自分はこっちの方が在宅では自然だと思っています。
利用者さんとの距離の縮め方はかなり自由
初回訪問では、ご本人だけでなく家族がものすごく緊張していることもあります。
そういうとき、病気の話ばかりしなくてもいいと思っています。
外がすごく暑ければ、
今日、外暑いですよ。灼熱です、焦げそう、、、(´・ω・)
でもいい。
桜が咲いていたら、移動中に撮った写真を一緒に見ることもあります。
鯉のぼりの時期は河川敷がにぎやかですし、マンションの上の方へ訪問したら、夜は夏の花火大会が目の前だったこともあります。
紅葉で道がきれいなら、
ちょっと散歩しませんか。
と誘うこともできる。
公園にあった、小学生が作ったんだろうなと思う雪だるまの写真だって、道すがら撮ったりします。
そんな何気ないものが会話のきっかけになることがあります。
もちろん、全員に同じ方法が使えるわけではありません。話したくない人へ無理に話しかける必要もありません。
でも、その人との距離をどう縮めるかを自分で考えられる自由さは、在宅の面白いところだと思っています。
薬を飲んでいないなら「飲んでください」で終わらせない
例えば、薬が飲めていない利用者さん。
単純に、
薬飲んでくださいね。
だけでは分からないことがあります。
忘れていたのか、寝てしまっていたのか。食事そのものを忘れていたのか、薬を飲むと体調が悪くなると思っているのか。そもそも治療自体をしたくないのか。
理由はいろいろあります。
本人が「飲みたくない」と考えているなら、その意思を無視して無理やり飲ませるわけにもいきません。
飲みたくないって言ってるんだから、飲ませなくていいじゃん。
という考え方もあると思います。
ただ、国家資格を持った看護師として関わっている以上、
なんで飲みたくないんだろう?
とは考えます。
その理由を聞いていくと、病気だけではなく、その人がどういう人なのかが少しずつ見えてきます。
この感じが、在宅では結構面白いです。
事前情報と実際の生活が違うことは普通にある
退院時や依頼時に聞いていた情報と、実際に訪問したときの状態が違うこともあります。
でも、自分はそこに必要以上に驚くことはありません。
情報と違っていたとしても、その人が生活するうえで困っていることや必要な看護、治療方針を確認して対応するだけです。
例えば、
緩和目的で自宅へ戻りました。痛みはコントロールできています。
と聞いていた方が、訪問すると痛みでかなり悶えている。
それならすぐ主治医へ報告して、疼痛コントロールについて相談します。
また、
吸引機はありますが、ほぼ吸引は必要ありませんよ。
と聞いていたのに、自宅へ行くと痰があふれそうになっていて、窒息が心配な状態だったこともあります。
この時ばかりは肝が冷えました。
部屋の衛生状態もかなり悪い人であれば、
週1回の看護師訪問だけで本当に足りるかな、、、。
と感じることもしばしばあります。
必要ならケアマネジャーへ報告して、ヘルパーなど他サービスも含めて調整してもらいます。
情報と違うこと自体が問題なのではなく、実際に見えた状態から次に何をするか。
そこが大切です。
訪問看護では、病院で培った経験がどう役立つのかについてはこちらにも書いています。

自分は「情報がないこと」が一番不安
初回訪問で怖いことは何かと聞かれると、自分の場合は「怖い」というより不安です。
知らない処置や疾患だったり、利用者さんの状態がよく分からなかったりすれば、そりゃ不安になります。
未知の領域は、なんにしたって不安です。
その不安は、経験を重ねたり、自分で勉強したり、周りへ聞いたりすることで少しずつ減らしていくものだと思っています。
その中でも、自分は情報がほとんどない状態が一番不安です。
訪問看護をするうえで、不安のない人っているんだろうか、、、?
利用者さんの情報がなければ、何に注意すればいいのか予測がつかないので、訪問するまではやっぱりドキドキします。
ただ、先ほど書いたように、訪問看護では最初から十分な情報がないこともあります。
だからこそ、
分からないなら、その場で確認する。
自分だけで判断できなければ相談する。
帰ったあとでも必要な情報を共有する。
というスタンスで行くしかありません。
それで対応するしかないか~と、半ば諦めているような感じです。
杞憂、、、っていうんですかね。
起こるか起こらないかわからない出来事に振り回されていては、体力がもったいのうございます(某雛女より)。
看護師なんだから何でも一人で分からないといけない、とは思いません。
というか、それは無理ですし、できるって言っている人はちょっと傲慢です。
分からないことを分からないまま進める方が、自分は怖いです。
せっかくチームでやっているのですし、一人で看護しているわけではないのでね(´・ω・)
「本当の初回訪問」と「そのスタッフにとって初めての訪問」は少し違う
初回訪問といっても、自分は大きく二つあると思っています。
一つは、事業所としてその利用者さんへ初めて介入する本当の初回訪問。
もう一つは、すでに訪問看護が入っている利用者さんへ、そのスタッフが初めて行く訪問です。
本当の初回訪問は情報収集の割合が大きい
事業所としての初回訪問では、必要な処置をしながら、生活状況や家族、サービス利用状況などをかなり見ます。
カルテだけでは分からないことを、実際の生活から集めていく感じです。
スタッフとして初めて行く場合は「前回から何が変わったか」も見る
すでに他のスタッフが訪問している利用者さんなら、基本的な情報は記録にあります。
その場合は必要なケアをしながら、
転倒してないかな。時々転んだこと隠すからな、、、
傷の具合が悪くなってないかな。むせてたけど発熱してないかな、、、
前回から何か新しいことは起きていないかな。
と変化を見ていきます。
同じ「初めて」でも、少し毛色が違います。
新人さんへ最初から何でも一人で行かせる必要はないと思う
実際の現場では、初回から単独で訪問することもあります。
契約時に対応することもありますし、他のスタッフが行けず、急に代わりとして入ることもあります。
すべての訪問に必ず同行者を付けるのは難しいです。
訪問看護、どこも人手不足って言いますしね。
自分自身は看護師として長く働いてきたので、ある程度はその場で対応できます。
でも、新しく訪問看護へ来たスタッフまで同じように考える必要はないと思っています。
新しく来たスタッフにいきなり同じことを求めるのは、さすがに酷というか、ちょっと配慮がないですよね。
特に新人さんには、訪問そのものを必要以上に怖い仕事だと思わせないことが大切です。
分からない処置があるなら一緒に行く。不安が強い利用者さんなら同行する。困ったときに誰へ電話すればいいのか伝えて、帰ってきたら相談できるようにしておく。
そういう環境があれば、少しずつ一人で行けるようになります。
いきなり、
看護師なんだから一人で行けるでしょ。
っていう人は、ちょっとデリカシーどこ行ったの?って思います。
私たちが若いころはそうしてた。
とかいう人は、無視していいです。
そんな人がいたら、自分なら職場とかスタッフ配置をちょっと考えますね。
訪問看護未経験で転職するときの教育体制についてはこちらにも書いています。

面接で教育体制を確認するときの質問はこちらです。

初回訪問が終わったら「全部電話で報告」するわけではない
訪問が終われば、当然記録を残します。
ただ、見たこと全部をケアマネジャーや医師、管理者へ一件ずつ電話するわけではありません。
そんなことをしていたら、それだけで一日終わります。
通常の情報は記録で他スタッフと共有します。
そのうえで、
- 命に関わる状態変化
- 医師へ判断を仰ぐ必要があること
- 新たに出てきた大きな困りごと
- サービス調整が必要なこと
- 次の訪問者が知らないと危険なこと
などは、必要な相手へ直接共有します。
情報共有も、全部送ればいいわけではなく、誰に何を伝える必要があるのかを考える。
そこも訪問看護で身につけていく部分だと思っています。
初回訪問で「傾聴すればいい」わけでもないと学んだ
自分にも、関わり方を考え直した経験があります。
透析を受けている利用者さんで、
これは自分でできる。
あれも自分でできる。
と、何でも自分でやりたい方がいました。
実際にはうまくできていないこともありましたが、自尊心を傷つけたくなかったので、自分はかなり話を聞く側に回っていました。
否定せず、まず傾聴する。その方がいいと思っていました。
でも後になって別のスタッフから、
本人、もう少し意見も言ってほしかったみたいですよ。
と聞きました。
自分としては、
あ、聞いてるだけでも駄目なのか。
と気づいた経験でした。
傾聴は大切です。
でも、人によっては、
あなたはどう思う?
看護師として何か言ってほしい。
という人もいます。
そこからは、その人がどんな関わりを求めているのかも考えるようになりました。
今でも正解が毎回分かるわけではありません。
ただ、クレームは少なくなりました。
難しいですよね、人と人との関わりって、、、ほんと難しい。
「訪問が上手い人」はケアをケアっぽく見せない
自分が、
この人、うまいな。
と思ったスタッフの関わり方があります。
例えば歩行練習。
普通なら、
では今から歩行練習しましょうか。
となりそうなところを、
ちょっと外の景色見に行きません?
と誘う。
洗面所まで歩いてもらいたいなら、
せっかくだから一緒に手を洗いに行きましょうか。
と声をかける。
利用者さんに「今から治療される」と必要以上に意識させず、自然な生活の中へケアを入れていく。
自分はこれを見たとき、
うまいなぁ。
と思いました。
自分も真似しようとしているんですが、これがなかなか難しいです。
同じ言葉を言えば同じ結果になるわけではありません。
その人との信頼関係や、声をかけるタイミング、それまでの会話があって成り立っているんだと思います。
なので、その人のやり方をそのままコピーするというより、
こういう考え方もあるんだ。
と参考にしながら、自分に合った関わり方を探しているところです。
初回訪問ですべて分からなくてもいい
初回訪問で、利用者さんのすべてを把握するなんて無理だと思います。
生活歴や病気、家族関係、本人の価値観、本当は何に困っているのか、何をされたくないのか、何を大切にしているのか。
1時間話したくらいで全部分かったら、その方がすごいです。
だから初回で必要なのは、すべてを理解することではなく、今安全に生活できているかを確認し、今回の介入目的に必要な情報を集め、次の看護につなげること。
そのうえで、訪問を重ねながら少しずつその人を知っていけばいいと思っています。
カルテに書いてある情報も大切です。
でも、実際に家へ行くと、その人がどう暮らしているのかが見えます。
そして何より、
「この人ならまた家に入ってもらってもいいかな」
と思ってもらうことも初回訪問では大切です。
全部分からなくてもいいし、分からないことがあれば聞けばいい。一人で決められなければ相談して、必要な情報はチームへつなぐ。
そして病気だけではなく、その人がどう暮らしているのかを見る。
初回訪問も、結局やることはいつもの看護と大きく変わらないと思っています。
療養する場所が、病院からその人の家へ変わっただけです。
訪問看護師の1日の流れについてはこちらで紹介しています。

訪問看護の仕事内容や転職、給料、オンコールなどをまとめた総合ガイドはこちらです。



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