訪問看護の面接では、何を質問すればよいのでしょうか。
求人票を見れば、月給や休日数、勤務時間などの基本的な条件は確認できます。
しかし、実際の残業時間やオンコールの負担、スタッフ同士の関係、看護以外に任される仕事までは、求人票だけでは分かりません。
自分はこれまで複数の訪問看護ステーションで働いてきました。
その中には、安心して働ける事業所もあれば、入職前にもっと確認しておけばよかったと感じる事業所もありました。
面接は、事業所から選ばれるだけの場ではありません。
応募する側が、自分に合う職場かどうかを見極める場でもあります。
この記事では、訪問看護の面接で確認したい15の質問を、実際に使いやすい聞き方とともに紹介します。
すべてを一度に質問する必要はありません。
自分が何を重視しているのかを整理し、特に気になる項目から確認してみてください。
訪問看護の面接では「求人票に書かれていない実態」を確認する
面接では、求人票を読めば分かることを聞くだけでは十分ではありません。
例えば「残業あり」と書かれていても、月に数時間なのか、毎日1時間以上あるのかでは負担がまったく違います。
「オンコールあり」と書かれていても、電話がほとんど鳴らない事業所と、夜間出動が頻繁にある事業所があります。
また、「スタッフを大切にしています」と書かれていても、本当に大切にしているかどうかは、実際の運営や管理者の行動を見なければ分かりません。
面接で大切なのは、きれいな言葉を聞くことではなく、その言葉を裏付ける具体的な事実を確認することです。
給与について確認したい4つの質問
1.固定残業代は何時間分で、実際の残業時間はどのくらいですか?
固定残業代が含まれている求人では、何時間分が給与に含まれているのかを確認します。
それと同時に、実際には月に何時間ほど残業しているのかも聞いておきたいところです。
面接での聞き方
固定残業代は何時間分が含まれていますか?
また、スタッフの方の実際の残業時間は月にどのくらいでしょうか?
固定残業代が支給されていても、毎月その時間を超えるほど残業していれば、提示された給与ほど条件がよいとは限りません。
反対に、残業が少ない事業所では、時間外訪問を増やして収入を補いたいと思っても、そのような働き方ができない場合があります。
給与額だけでなく、どのような働き方をした結果として、その給与になるのかを確認することが大切です。
2.賞与はこれまでにどのくらい支給されていますか?
求人票には「賞与○か月分」や「業績による」と書かれていることがあります。
業績によって変動すること自体は珍しくありませんが、過去の支給実績があるなら確認しておきましょう。
面接での聞き方
賞与は業績によるとのことですが、直近ではどのくらい支給されていますか?
特に立ち上げ直後の事業所では、代表者の考え方が表れやすいと感じます。
経営が安定していない状況でも、立ち上げから働いているスタッフの努力を評価しようとする事業所もあります。
一方で、「立ち上げたばかりだから支給できなくて当然」と考え、職員の負担を軽く見ている事業所もあります。
賞与額だけでなく、説明の仕方や、スタッフの働きをどのように捉えているかにも注目してください。
3.昇給や評価は、どのような基準で決まりますか?
昇給や給与評価の基準が曖昧な事業所では、管理者や代表者の感覚だけで評価が決まることがあります。
面接での聞き方
昇給はどのような基準で決まりますか?
ラダーや評価表などはありますか?
訪問件数、看護技術、他職種との連携、後輩指導など、何を評価するのかが明確であれば、働く側も目標を立てやすくなります。
「頑張りを見て判断します」という回答だけでは、具体的に何をすれば評価されるのか分かりません。
今後の収入を考えるためにも、評価基準を確認しておきましょう。
4.訪問件数に応じた手当やインセンティブはありますか?
同じ勤務時間でも、1日4件訪問する人と、8件や9件訪問する人では負担が異なります。
それにもかかわらず、給与や手当がまったく同じという事業所もあります。
面接での聞き方
訪問件数に応じた手当やインセンティブはありますか?
また、件数が多いスタッフへの評価はどのように行っていますか?
インセンティブ制度があれば必ず良いわけではありません。
件数を増やすことが優先され、看護や記録がおろそかになる可能性もあります。
大切なのは、仕事量と給与のバランスが取れているかどうかです。
非常勤の場合は、時給制だけでなく、1件ごとの単価も確認しておきましょう。
自分や知人の周囲では、時給2,500円以上、1件6,000円以上の職場は、比較的スタッフへ還元しようとする姿勢を感じました。
ただし、これはあくまで限られた経験上の例です。地域、訪問時間、業務内容によって条件は異なります。
オンコールについて確認したい3つの質問
5.オンコール手当と緊急出動手当はいくらですか?
オンコール手当は、電話を持って待機することへの手当です。
実際に訪問した場合は、別途、緊急出動手当が支給されるのかも確認してください。
面接での聞き方
オンコールの待機手当と、実際に出動した場合の手当を教えてください。
平日と休日で金額は変わりますか?
オンコールは、電話が鳴らなかったとしても、自由に遠出したり飲酒したりできず、1日の行動が制限されます。
平日と休日で同じ金額なのか、休日は高く設定されているのかも確認したいところです。
6.月の電話件数と緊急出動件数はどのくらいですか?
「月に何回オンコールを持つか」だけでは、実際の負担は分かりません。
同じ月5回でも、ほとんど鳴らない事業所と、毎回電話や出動がある事業所では大きな差があります。
面接での聞き方
オンコール1回あたり、電話や緊急出動は平均でどのくらいありますか?
直近数か月の件数も教えていただけますか?
平均だけでなく、最近の実績を聞くと、より具体的な負担が分かります。
また、出動した翌日に遅出や休みなどの勤務調整があるかも確認してください。
7.どのような利用者さんが多く、夜間はどのような連絡がありますか?
オンコールの内容は、利用者さんの層によって変わります。
例えば、精神科では不安や相談の電話、難病ではポジショニングや医療機器への対応、がん末期では疼痛コントロールや看取りに関する連絡が増えることがあります。
小児では発熱や嘔吐、便秘などへの相談、高齢者では排泄や更衣、転倒などの対応が必要になる場合があります。
面接での聞き方
どのような疾患や年齢層の利用者さんが多いですか?
夜間はどのような内容の電話や出動が多いでしょうか?
利用者さんの層を確認すると、オンコールの負担だけでなく、自分が経験できる看護もイメージできます。
オンコールや夜間対応が苦ではない人にとっては、手当を得ながら経験を積める機会にもなります。
ただし、一人で判断するのか、管理者へ相談できるのかも合わせて確認しましょう。
訪問件数と働き方について確認したい4つの質問
8.1日の平均訪問件数は何件ですか?
訪問件数は、忙しさを判断する重要な項目です。
自分の経験では、1日5〜6件程度が一般的な範囲で、7件を超えると忙しさを感じやすくなりました。
訪問時間や移動距離にもよりますが、1日10件前後になると、かなり慌ただしい働き方になります。
面接での聞き方
常勤スタッフの1日の平均訪問件数は何件ですか?
多い日は最大で何件ほどになりますか?
平均件数だけでなく、最大件数も聞くことが大切です。
「平均5件」と説明されても、一部のスタッフだけが毎日8件以上回っている可能性があります。
9.移動時間と昼休憩は、どのように確保されていますか?
訪問件数が多くなくても、移動時間が極端に短ければ余裕はありません。
自分が経験した中には、移動時間が10分刻みで組まれ、1日13件訪問し、昼休憩もほとんど取れない事業所がありました。
ここは本当に色んな意味で地獄でした。
件数によるインセンティブはあっても、利用者さんと向き合う余裕がなくなり、看護が流れ作業のように感じられました。
面接での聞き方
訪問と訪問の間は、平均でどのくらい移動時間を取っていますか?
昼休憩はどのように確保していますか?
スケジュール調整が十分にできていない会社では、現場のスタッフが無理をして埋め合わせることになります。
自分を守るためにも確認しておきたい項目です。
10.記録は勤務時間内に終わりますか?
訪問件数だけを聞いても、記録や報告書にかかる時間までは分かりません。
訪問後の記録が毎日残業になっている事業所もあります。
記録手当、と称して残業代を付けないようにしている事業所もあります。
手当、とは聞こえはよいですが、実際のところ負担を強いられるのは労働者ですね、、、(´・ω・)
面接での聞き方
記録は訪問先や移動中に入力できますか?
記録業務による残業は月にどのくらいありますか?
記録用端末の貸与、音声入力の使用、直行直帰時の入力方法なども確認すると、実際の働き方を想像しやすくなります。
11.日中の緊急訪問は誰が担当しますか?
予定外の訪問が入ったとき、誰が対応するのかによって負担は変わります。
面接での聞き方
日中に急な訪問依頼が入った場合、どのように担当者を決めていますか?
管理者が対応することもありますか?
空いているスタッフが対応するのか、担当看護師が予定を変更するのか、管理者や緊急対応担当者が行くのかを確認してください。
毎回同じ人へ負担が集中する仕組みになっていないかも重要です。
業務内容と教育体制について確認したい3つの質問
12.訪問以外に担当する仕事はありますか?
訪問看護師の仕事は、訪問と記録だけではありません。
営業、チラシ作成、SNS運用、採用活動、委員会、勉強会の準備などを担当する事業所もあります。
面接での聞き方
訪問や記録以外に、看護師が担当する業務はありますか?
営業活動やSNS、採用、委員会なども担当しますか?
これらの仕事が悪いわけではありません。
ただし、入職後に初めて知らされることや、業務量に見合った評価がないことが問題です。
「ここまでスタッフに任せるのか」と感じるほど、管理者や代表者の仕事を肩代わりさせられる職場もありました。
担当する業務と、それに必要な時間が確保されているかを確認してください。
13.同行訪問の期間と独り立ちの基準を教えてください
訪問看護未経験者にとって、教育体制は重要です。
「慣れるまで同行します」という説明だけでは、どのくらい同行してもらえるのか分かりません。
面接での聞き方
同行訪問は平均でどのくらいの期間行いますか?
独り立ちは、どのような基準で判断していますか?
期間だけでなく、利用者さんの状態や看護技術に応じて同行を延長できるのかも確認しましょう。
すべての利用者さんに一律の同行回数を設定する事業所より、スタッフの経験やケースの難しさに合わせて調整できる方が安心です。
いきなり初回単独で訪問させる事業所もあり、これは利用者さんも「えっ!?」となることが多いので、職場環境は大切だなと思いました。
14.管理者が不在のときは、誰に相談できますか?
訪問中に判断へ迷ったとき、管理者へ連絡できるとは限りません。
主任やリーダーなど、代わりに相談できる人がいるか確認してください。
面接での聞き方
訪問中に判断へ迷った場合、誰へ相談しますか?
管理者が不在のときの相談先も決まっていますか?
また、相談後の役割分担も重要です。
自分が利用者さんへの緊急対応を行ったあと、医師やケアマネジャーへの連絡を誰が行うのか。
救急対応が発生したあと、残りの訪問や勤務調整を管理者が行ってくれるのか。
「相談できます」だけでなく、相談したあとにどこまで支援してもらえるのかを確認しておくと安心です。
管理者、主任、リーダーの考え方が異なる職場では、スタッフが板挟みになることもあります。
責任者同士で方針が共有されているかも見ておきたいところです。
職場の雰囲気を確認する最後の質問
15.入職前に事業所を見学できますか?
職場の雰囲気は、質問への回答だけでは分かりません。
可能であれば、スタッフが働いている時間帯に見学をお願いしましょう。
面接での聞き方
入職を決める前に、事業所内を見学することはできますか?
実際に働いているスタッフの方とお話しする機会はありますか?
見学では、次のような部分を確認します。
- 管理者がスタッフへどのように話しかけているか
- スタッフが管理者へ敬意を持って接しているか
- 電話対応が丁寧か
- 利用者さんや退職者の悪口を話していないか
- 雑談が多すぎず、派閥のような雰囲気がないか
- 書類や個人情報が乱雑に扱われていないか
- ドアや物品を乱暴に扱う人がいないか
一つの行動だけで、その人や職場を決めつける必要はありません。
ただし、日常の小さな所作には、その人の余裕や他者への配慮が表れることがあります。
特に管理者の話し方は重要です。
管理者という立場を理由に威圧的に振る舞う人や、スタッフへの礼節を欠く人がいる職場では、何か起きたときに職員を守ってもらえない可能性があります。
反対に、スタッフが管理者を軽く扱い、指示が通っていない職場も、統率が取れているとはいえません。
管理者とスタッフの双方が、適切な距離と敬意を保てているかを見てください。
また、利用者さんや以前働いていた人について、面接の場で悪く話す事業所にも注意が必要です。
看護の質は、知識や技術だけでは決まりません。
その場にいない人をどのように扱うかにも、職場の姿勢が表れます。
15問すべて聞けないときに優先したい3つ
面接時間には限りがあるため、15問すべてを聞けないこともあります。
その場合は、次の3つを優先するのがおすすめです。
1.給与形態と実際の残業時間
提示された月給だけではなく、固定残業代、実際の残業時間、賞与実績、昇給基準まで確認します。
非常勤であれば、時給制と件数制の両方を確認してください。
2.オンコールの電話件数と出動件数
担当回数だけでは、負担を判断できません。
利用者さんの層、電話件数、出動件数、相談体制、出動後の勤務調整まで聞くことが大切です。
3.管理者の考え方と相談体制
最終的に、職場の働きやすさを大きく左右するのは、代表者や管理者の考え方です。
ただし、面接で良いことを言っているだけでは判断できません。
何を言うかより、実際に何をしているか。
この視点を持って、具体的な制度や事例を確認してください。
「スタッフを大切にしています」と言われたら、休暇の取り方や業務調整の方法を聞く。
「相談しやすい職場です」と言われたら、実際の相談先や緊急時の流れを聞く。
抽象的な言葉を、具体的な行動へ置き換えて確認することが大切です。
転職サイトを利用して複数の事業所を比較する方法もある
自分一人で求人を探し、すべての条件を確認するのが難しい場合は、看護師向けの転職サイトへ相談する方法もあります。
面接で聞く内容を色々書きましたが、実際これ全部聞けるかと言ったらその時の雰囲気で聞けないこともあると思います。
訪問看護は立ち上げも多いですが、潰れるところも多いので、採用はだんだんシビアになっている印象です。
転職サイトを使えば、複数の求人を比較したり、自分では聞きにくい給与や離職状況について確認してもらったりできます。
紹介された後に、しっかり自分で吟味して、転職サイトの担当者から得た情報と、自分が実際に感じた雰囲気の両方を合わせて判断することが大切です。
まとめ
訪問看護の面接では、給与や休日だけでなく、実際の働き方まで具体的に確認する必要があります。
特に確認してほしいのは、次の3つです。
- 給与形態と実際の残業時間
- オンコールの電話・出動件数
- 管理者の考え方と相談体制
求人票や面接では、どの事業所も良い部分を中心に説明します。
その言葉が事実かどうかを判断するためには、実績や具体的な対応方法まで質問しなければなりません。
面接は、採用してもらうために自分を良く見せるだけの場ではありません。
自分が安心して働ける事業所なのかを確かめる場でもあります。
質問したことに対して、曖昧にせず丁寧に答えてくれるか。
答えにくいことでも、誠実に説明してくれるか。
その対応自体が、入職後の職員への接し方を判断する材料になります。
焦って転職先を決める必要はありません。
複数の事業所を比較し、給与、オンコール、訪問件数、相談体制、職場の雰囲気を確認してください。
この記事が、訪問看護へ転職したあとに「もっと聞いておけばよかった」と後悔する人を減らすきっかけになればうれしいです。



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