訪問看護で汚い家・ゴミ屋敷に行くことはある?虫・タバコ・ペットなど利用者宅の実態

訪問看護・働き方

訪問看護への転職を考えている人から、

人の家に行くんですよね?かなり汚い家とかもありますか?

と聞かれることがあります。

あります。

自分もこれまで、いろいろなお宅へ訪問してきました。

ゴキブリホイホイの中がびっしり埋まるくらいゴキブリが入っていて、

ひっ!

となったこともあります。

部屋の中でインコを放し飼いにしていて、床のあちこちに鳥のフンがあるお宅。天井にキノコが生えて、そこから灰色っぽい水が落ちてくる家。床が抜けて外から犬や猫が入ってくる家や、窓ガラスが何枚も割れていて外気がそのまま入ってくる家もありました。

色々ありすぎて、全部は書けません(笑)。

ただ、こういうお宅ばかりかというと全然そんなことはありません。

自分は多い月だと200件前後訪問することがありますが、かなり衛生環境が厳しいと感じるお宅へ行くのは、その中でも月に1〜2件あるかないかくらいの感覚です。

珍しくはある。

でも、実際にはある。

そんな感じです。

そして訪問看護を続けていると、単純に、

汚い家だな。

だけでは見なくなりました。

なぜ今この生活環境になっているのか。この環境が本人の生活や安全にどう影響しているのか。

そちらを見るようになります。

病院とは違って、訪問先は「その人が暮らしてきた家」

病院は基本的に清掃されています。

床は掃除され、ゴミも回収され、医療者が働きやすいように環境が整っています。

でも訪問看護で入るのは病室ではありません。

利用者さんが何年、何十年と暮らしてきた家です。

物が多い人もいれば、ペットと暮らしている人もいる。タバコを吸う人もいれば、掃除が十分にできなくなっている人もいます。

初めてかなり衛生状態の悪いお宅へ行ったとき、自分がまず思ったのは、

どうやって入ろうかな。

でした。

必要に応じてマスクやエプロン、シューズカバーなどを使って介入します。

ただ、ここも結構難しいんですよね。

シューズカバーをつけたらクレームになったこともある

以前、衛生面を考えてシューズカバーを使用したところ、利用者さんから、

私の家は汚いってことですか!?

と言われたことがあります。

いやまあ、その……。

さすがに、

そうです。

とは言えません(-“-)

そのときは、

スタッフはいろいろなお宅へ訪問していますので、訪問先から別のお宅へ汚れなどを持ち込まないためにも使っています。

というような説明をしました。

最終的には、そのお宅専用のスリッパを持参することで落ち着きました。

今考えると、

それでも納得してもらえなかったらどうなってたんだろう。

と少しヒヤヒヤします。

こちらに感染対策や衛生面を考える理由があっても、利用者さんからすれば自分の家です。

その家を否定されたように感じることもあります。

正しいことをしていれば、どう伝えてもいいわけではない。

在宅ではそういう配慮も必要なんだなと思いました。

初回訪問で玄関や室内など、実際の生活環境からどんな情報を見ているのかはこちらにも書いています。

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「散らかっているから片付ける」ではなく、生活に影響するかを見る

物がたくさん置いてあるからといって、訪問看護師がいきなり、

片付けましょう。

とは言いません。

本人は何十年もその状態で生活していて、

別に困ってないよ。

と思っていることもあります。

こちらの価値観だけで、

普通はこうでしょう。

と家の中を変えるのは違うと思っています。

自分が気にするのは、その環境によって本人へ直接的な問題が起きそうかどうかです。

例えば、床に物が多くて転倒しそうになっている。

暖房器具の周りに物が積まれていて火災が心配。

食材が傷んでいて、食べたら体調を崩しそう。

薬があちこちに置かれていて、何を飲んだのか分からなくなっている。

こういう場合は放っておきません。

ただ、

汚いから掃除してください。

ではなく、

ここに荷物があると転びそうなので、少しこっちへ動かしてもいいですか?

とか、

このチラシ、踏んだら滑りそうなので一緒にまとめておきません?

みたいに、生活上の理由から提案することが多いです。

必要なら一緒に片付けます。

ゴミが大量にあって本人だけではどうにもできないなら、ケアマネジャーや行政などとも相談しながら、清掃や生活支援へつなげることもあります。

今の暮らし方を受け入れることと、危険をそのまま放置することは別です。

そこは分けて考えています。

ゴキブリや見たことのない虫に出会うこともある

虫はいます。

ゴキブリ、ハエ、蚊。

そして、

君は何?

という見たことのない虫。

生命力の神秘です。

もちろん、利用者さんの家を面白がっているわけではありません。

自分も虫が大好きなわけではないので、突然出てきたら普通にびっくりします。

ただ、ゴキブリが1匹いたから、

今日は訪問できません。

ということには基本的になりません。

一方で、害虫が大量に発生していたり、糞尿などでスタッフの安全や衛生面に影響が出そうだったりする場合は、一人で判断せず管理者やケアマネジャーへ相談します。

そもそも、

家の管理が難しくなっているから訪問看護やヘルパーが必要になった

という利用者さんもいます。

そういうケースなら、訪問をやめるだけでは本人の生活はさらに難しくなります。

必要に応じて清掃業者などに入ってもらい、生活できる環境を作ったうえで支援を続けることもあります。

ゴミ屋敷になっている背景に病気があることも多い

散らかった家を見て、

だらしない人なんだな。

で終わらせるのは早いと思っています。

認知症が進んで片付け方が分からなくなった。

身体が動かなくなって、ゴミを捨てに行けなくなった。

精神疾患などの影響で、物を整理することが難しくなった。

もともと片付けていた人でも、病気や加齢によって家の管理ができなくなることがあります。

なので自分は、散らかり方を見ると、

なんでこうなったんだろう。

と本人の状態と合わせて考えます。

例えば以前はきれいだった家が急に散らかり始めたなら、それ自体が何かの変化かもしれません。

家の状態も、その人の状態を知る情報の一つです。

タバコもその人の生活の中にある

タバコを吸っている利用者さんもいます。

訪問中に吸う人もいますし、壁全体にヤニ汚れがついているお宅もあります。

長年吸っている人では指先まで茶色くなっていることもあります。

経済的にかなり厳しい状況でも、

タバコだけはやめられない。

という方もいます。

そういう人を見ると、依存って大変だなと思います。

一方で、肺の病気があったり、寝タバコをしていたりすると、体調面だけではなく生活上の安全も心配になります。

だからといって、

タバコやめてください。

と一言言えば解決するものでもありません。

本人の生活や考えを聞きながら、必要なら医師や他職種とも共有していきます。

また、タバコのにおいがかなり強いお宅へ行ったあとは、次の利用者さんのお宅へそのまま持ち込まないように、自分は必要に応じて靴下を替えたり身なりを整えたりします。

訪問看護で実際に着ている服装や、替えの靴下、訪問後の身だしなみについてはこちらにまとめています。

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ペットは「衛生上のもの」だけではなく、その人の家族でもある

犬や猫がいるお宅も多いです。

噛む可能性がある犬などは、ご家族が事前に別室へ移してくれていることが多いので、自分自身が直接危険な目に遭ったことはあまりありません。

むしろ困るのは、人懐っこい子です。

めちゃくちゃかわいい。

仕事中なのに寄ってくる。

猫なんて膝に乗ろうとしてくる。

仕事だから、今ちょっと待ってね(´・ω・)

という感じです。

可愛さに心奪われます(笑)。

ただ、そのペットは利用者さんにとって長く一緒に暮らしてきた家族でもあります。

なので、

医療をするので邪魔です。どけてください。

とは考えません。

例えば点滴をしているなら、犬や猫がルートをかじったり引っかけたりしないよう配置を工夫する。

毛がたくさん舞う環境なら、処置の衛生面には注意する。

必要な対策をしながら一緒に過ごしてもらいます。

病院へ入院すれば、ペットとは離れなければならないこともあります。

自宅だからこそ、いつもの犬や猫と一緒に過ごせる。

そういう生活も含めて在宅なんだと思います。

夏なのにこたつ。室温もその人の生活が見える

家によって室温も全然違います。

真夏なのにエアコンを使っていない人もいますし、本当に暑い時期でもこたつに入っている人もいます。

理由もいろいろです。

電気代が気になる。

本人は暑いと感じていない。

昔からこの生活をしている。

そういうときは、

暑いからエアコンつけましょう。

だけではなく、本人の体調を見ながら、

この室温だと体調が心配なんです。

と説明したり、ご家族にも協力をお願いしたりします。

こちらが全部管理するわけではありませんが、本人だけでは環境調整が難しくなっているなら、それも在宅生活を続けられるか考える材料になります。

自分が関わった中では、室温管理や生活環境を自分で維持することが難しくなり、最終的に施設など別の生活環境を検討したケースもあります。

エアコンを使っていない、という一つの出来事だけを見るのではなく、なぜ調整できないのかを見る。

そこが大切だと思っています。

冷蔵庫を見れば、食生活が見えてくることもある

もちろん、利用者さんの許可なく勝手に冷蔵庫を開けることはしません。

ただ、食事管理などで中を確認する必要がある利用者さんでは、冷蔵庫を見ると生活状況がかなり分かることがあります。

認知症の方では、同じ商品を何個も買ってきていることがあります。

賞味期限が切れていても本人は気にしていない。

逆に、

食べてますよ。

と言っているのに、冷蔵庫にはほとんど何も入っていないこともあります。

こういうときも看護師一人で全部管理するのではなく、ケアマネジャーへ情報を伝えたり、日常的に入っているヘルパーさんに冷蔵庫の確認をお願いしたりします。

食事を準備するときに賞味期限も一緒に見てもらう。

そうやって役割を分けます。

また、通販などで大量に買い物をしてしまい、金銭管理そのものが難しくなっている人では、ケアマネジャーや後見人など、必要な支援へつながることもあります。

家を見ると、病院ではなかなか見えなかったものが本当にいろいろ見えてきます。

半年分、1年分の薬が家から出てくることもある

薬も同じです。

訪問していると、

これいつの薬?

というものが出てくることがあります。

飲み忘れた薬が残っている。

でも受診するたびに新しい薬を処方してもらう。

それを繰り返して、半年分、場合によっては1年分くらいの残薬がどかっと出てくることもあります。

これはそんなに珍しいことではありません。

こういう場合も、

看護師が全部整理して毎週管理します。

だけが方法ではありません。

訪問薬剤師さんへ入ってもらい、残薬や服薬方法を整理してもらうこともあります。

在宅にはそれぞれ得意な分野を持った職種がいます。

自分たちだけで何でもやろうとせず、本人が生活しやすくなるよう必要な人へつないでいきます。

ケアマネジャー、ヘルパー、薬剤師などと、実際にどう情報をつないでいるのかはこちらの記事で詳しく書いています。

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病院とはバッグの置き場所ひとつでも少し違う

自分は病院やクリニック、施設などへ行ったとき、訪問バッグを床へ直接置くことは基本的に避けています。

床は不潔な場所として考えるからです。

一方、利用者さんのお宅では状況を見ながら、フロアへ置かせてもらうこともあります。

逆にベッドやソファーの上には、なるべく置きません。

利用者さんが寝たり座ったりする場所ですからね。

ただし、衛生状態がかなり厳しいお宅なら、その家の状況に合わせて置き場所を考えます。

訪問看護は、

すべての家で絶対この方法。

というより、基本的な衛生管理をしながら、その環境に合わせて対応する場面が多いです。

訪問バッグやマスク、手袋、消毒液など、普段使っている持ち物についてはこちらにまとめています。

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次のお宅へ汚れやにおいを持っていかない

一つのお宅で訪問が終わっても、その日の仕事は終わりではありません。

そのあと別の利用者さんのお宅へ行きます。

なので、

一軒目の環境を二軒目へ持ち込まない

ということは気をつけています。

訪問後は手洗いや手指消毒をする。

服が汚れれば着替える。

靴下が汚れたり、においが強くついたりしたら交換する。

夏場で汗をかいたら、車へ戻って無香料のボディシートで身体を拭くこともあります。

自分自身を清潔にするという意味もありますが、次の利用者さんのお宅へ行くためでもあります。

訪問看護では一日に何軒も違う家へ入るので、こういう小さな切り替えは結構大切だと思っています。

ゴミ屋敷だからというだけで訪問しない、とは自分は考えていない

自分は現在、訪問を受けるかどうかを最終的に決める立場ではありません。

なので、

こういう家なら絶対訪問します。

この状態なら絶対断ります。

とは言えません。

事業所の方針やスタッフの安全によって判断は変わると思います。

ただ、今の職場では、生活環境がかなり厳しい利用者さんにも比較的積極的に訪問しています。

地域から、

家の管理も難しくなっているので、訪問してもらえませんか。

と相談が来ることもあるようです。

考えてみれば、家が片付けられず生活できなくなっている人ほど、何かしらの支援が必要なんですよね。

もちろん、

虫が本当に無理です。

この環境では自分は訪問が難しいです。

というスタッフもいます。

そこを無理やり行かせるのも違うと思います。

対応できるスタッフで訪問したり、必要な環境整備をしたりしながら支援します。

特別な手当が付くわけでもないので、なかなか大変な訪問ではありますけどね(´・ω・)

病院の清潔基準を押しつけない。でも危険は放置しない

病院から訪問看護へ来たばかりだと、

こんな環境で生活して大丈夫なの?

と思う家に出会うことがあるかもしれません。

自分もありました。

でも、病院と自宅は違います。

病院は医療をするために環境が作られています。

自宅は、その人が生活するための場所です。

だから病院と同じ基準に合わせる必要はありません。

ペットがベッドに乗っていてもいい。

物が多少多くてもいい。

本人が困っておらず、安全に生活できているなら、その人の暮らし方です。

一方で、受け入れることと放置することは違います。

床に物があって何度も転んでいる。

腐った食べ物を食べそうになっている。

室温を調節できず体調を崩している。

火災につながりそうな状態になっている。

そこまで来れば、

その人の生活だから。

だけでは終われません。

今の環境が、その人の生活にどう影響しているのか。

そこを見ながら、本人と一緒にできる対策を考えていけばいいと思っています。

まとめ|家の状態も、その人を知るための情報の一つ

訪問看護では、本当にいろいろなお宅へ行きます。

ものすごくきれいな家もあれば、物がたくさんある家もあります。

犬や猫、鳥と暮らしている人もいる。

タバコを吸う人もいる。

エアコンを使わない人もいる。

中には、ゴキブリが大量にいたり、天井から水が落ちていたり、

これはどうやって入ろうかな……。

と考えるようなお宅もあります。

でも、その家は病室ではありません。

利用者さんがそこで暮らしてきた家です。

だから、

汚い。

普通じゃない。

と否定するところからは始めません。

なぜ片付けられなくなったのか。

この環境で何に困っているのか。

転倒や火災につながらないか。

ちゃんと食べられているのか。

薬は飲めているのか。

本人だけで管理できないなら、誰へつなげればいいのか。

そういうところを見る。

家の中には、病院では見えなかった情報がたくさんあります。

以前きれいだった部屋が急に散らかっていたら、それも変化です。

冷蔵庫が空なら、食生活を考えるきっかけになります。

半年分の薬が出てきたら、服薬管理を見直す必要があります。

生活環境を見ることも、その人を見ることの一部なんだと思います。

病院の衛生観を全部捨てる必要はありません。

自分や次の利用者さんを守るための感染対策は必要です。

ただ、病院の基準をそのまま人の家へ押しつける必要もない。

受け入れるところと、支援した方がいいところ。

その境目を本人の生活を見ながら一緒に考えていく。

在宅では、そんな関わり方をしています。

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